見出し画像

Oasis再結成にThe Killersのフジロック、2024年は15年来の伏線回収の年だった

2009年6月中旬、とあるニュースが飛び込んできた。

The Killers、フジロックの出演キャンセル

膝から崩れ落ちるとはこのことだ。
この年、The Killersがフジロックに出ると聞いて、初めてのフジロック行きを決めた。
過去2作からよりスケール感のアップした曲が多く収録された3rdアルバム『Day&Age』をリリースした直後で、すでに海外の主要な大型フェスではヘッドライナーを経験し、スタジアムバンドとなっていた彼らを日本の野外フェス、フジロックのグリーンステージで見れるには最高のタイミングだった。位置としてはヘッドライナーでもおかしくなかったが、当時の日本における知名度や人気からすれば、準トリでも十分であった。

同日のヘッドライナーはOasisが決まり、Oasisも好きな自分としては、この2組の並びは初めてフジロックに行くことを決断するには容易だった。

とはいえ、フジロックに関する知識が全然なかったので、当時主流だったmixiや2チャンネルをはじめ、色々なサイトの情報を漁り、来たるフジロックに向けて準備を進めていた。
The Killersがヘッドライナーを務めたグラストンベリーフェスティバルや各フェス、MVなど YouTubeも毎日のように見て、苗場の地で「Mr. Brightside」や「All These Things That I've Done」といったアンセム曲を演奏するのを想像して、期待を膨らませていった。
いよいよあと1か月となった矢先に飛び込んだのが、冒頭のニュースだ。

あまりのショックにしばらく立ち直れなかったものの、自分にはまだOasisをフジロックで見るというモチベーションが残っていた。
予定通り、初めてのフジロックに行くことにした。


2009年のフジロック初日は朝から雨模様で、全く止む気配が無かった。
ずっと屋外で雨に打たれ続けると体力を相当消耗する。休む場所も少なく雨宿りもできず、広い会場内を歩き周り、既に夕方くらいにはクタクタだった。ただ、ここでギブアップするわけにはいかなかった。目的のOasisを見なければ何のためにわざわざ来たのかわからない。

The Killersの代打となったPaul Wellerと転換の時間が途方もなく長く感じた。雨がレインウェアに染み込み、湿度で服はぐちゃぐちゃに、靴の中にも雨が入り満身創痍だった。
そんな状況でも「Rock 'N' Roll Star」のイントロが流れた瞬間、全ての不快な感情は吹き飛び、身体の内から湧き上がる熱い思いに包まれた。

リアムの声は全然出ていなく、コンディションが万全とは言い難かった。
それでも真夏の蒸し暑い中、モッズコートを着て仁王立ちし、「今夜、俺はロックンロールスターだ」と歌う姿は正真正銘のロックスターだった。

人が埋め尽くしたグリーンステージで、皆で歌う「Don't Look Back In Anger」は格別な体験だった。洋楽のアーティストでこんなに大合唱ができるのはなかなかない。

自分にとっての初フジロックは、イコールOasisの思い出となった。

そのフジロックから僅か1ヶ月後、ノエルはOasisから脱退し、バンドは解散となった。
その後はノエルもリアムもソロ活動に入り、Oasisは活動を再開する気配が全くないまま時が過ぎた。


2010年1月末、再び膝から崩れ落ちた。
The Killersのフジロックのリベンジとなる単独来日公演が2010年2月に決まり、先行でチケット購入し良番をゲットして最前列で見れるとウキウキしていた。
その矢先、再び直前でのキャンセルのアナウンスがあったのだ。
こんな仕打ちがあるのかと打ちひしがれ、ショックのあまりチケットの払い戻しさえ忘れてしまった。

その後の2013年に4thアルバム『Battle Born』のツアーで来日し、東京で2公演したのだが、うち1日は当日に日程と会場の変更というアクシデントに見舞われた。幸い自分はこの来日ツアーで初めて観れたのだが、2010年頃程の熱量は無かった。

それから暫く、新しいアルバムが出る気配も日本のフェスに出る気配も全くなく5年が経ち、ようやく5thアルバム『Wonderful Wonderful』のツアーの一環として、2018年に来日公演をすることが決まった。
今回は東京と大阪の2公演で、東京は武道館が会場であった。
しかし、悲しいかな不幸は続くもので、この年関西圏に直撃した台風21号の影響で関空が機能しなくなり、その影響で大阪公演はキャンセルとなった。

当時の記事

海外と日本での人気差は既に埋めようのないほど開いてしまった状況であったが、ようやくThe Killersを武道館という、これまでで1番大きな会場で観れるのは純粋に嬉しかった。小さい会場で観れるのは貴重であるが、やはりスケールの大きい彼らは大きな会場で見たかった。

2018年の武道館公演

しかし、これまでの公演キャンセルが日本での知名度や人気に、想像以上に陰を落としていた。チケットは完売せず、武道館の席の一部には暗幕がかかっていた。集まったファンの熱量はすごく、ライブ自体はめちゃくちゃ盛り上がり、フロントマンのブランドンも「5年待たせだけど、次は5年以内に来るね」と言ってくれた。

The Killersを久しぶりに、そして武道館という大きな会場で観れた喜びはあったものの、一方でどうしても物足りなさもあった。ずっとYouTubeでどデカい会場に観客が一杯いて、大合唱をする動画を観てきたので、どうしてもそれを求めてしまった。でも、日本でそれが叶うのは難しいこともわかっていた。


2024年3月、フジロックのベッドライナーが出揃った。

7/26(金) SZA
7/27(土) Kraftwerk
7/28(日) Noel Gallagher's High Flying Birds

初日のSZAが決まったことにより、ジャンルや世代などバランスの良い3組となった。
しかし、その2ヶ月後にSZAが出演キャンセルとなってしまった。開催2ヶ月を切ったタイミングでのベッドライナーのキャンセルはかなり痛手だったはずだ。ヘッドライナー級のアーティストは各フェスの出演が決まっていたりして、日程が合うアーティストはほとんどいないはずだった。
既に出演が決まっているアーティストが格上げになるか、日本のアーティストがブッキングされるのではと思っていた。

そんな予想を裏切るニュースが僅か2週間後に流れてきた。

初日のヘッドライナーにTHE KILLERS決定!
2004年以来20年ぶり苗場に帰還!!

フジロック公式HPより

あまりに唐突すぎて、しばらく信じられなかった。あのThe Killersがこのタイミングでブッキングできるのか?
しかし、少し時間をおいてThe Killersの公式Twitterでフジロックのアナウンスが流れたのだ。

このメッセージがあまりに嬉しすぎて額縁に入れて部屋に飾りたくなるほどだった。フジロックに、日本のフェスのヘッドライナーで来るということと、"you answer arigatou gozaimasu."は日本のファンにとって最高のメッセージだった。

本当にThe Killersは来るのか、また何かトラブルが起こって観れなくなるんではないかという不安は拭いきれなかった。例え来たとしても、グリーンステージがガラガラだったらどうしよう、という思いもあった。
それでも観れることを信じ、彼らのアルバムを何度も聞き直し、YouTubeに上がっている動画を繰り返し見て予習をした。

既にご存知の通り、The Killersは無事にグリーンステージに立ち圧巻のライブをしてくれた。
当日のライブレポートはプロの記事を見て欲しい。


多くの人で埋め尽くされたグリーンステージで、「Mr. Brightside」や「All These Things That I've Done」を大合唱できた。歌いすぎて最後には声が枯れてしまった。
本当にこの瞬間がいつまでも続いて欲しいと何度も思った。
2009年に叶わなかった夢が、15年の時を経て叶った瞬間だった。



フジロックの興奮冷め止まぬ8月末、Oasisの公式Twitterが謎の告知予告を出した。

再結成ではないかという噂が流れたが、これまでもそのような噂は出ては消えていたので、どうせ30周年記念のリマスター版アルバムの告知くらいだろうと思っていた。

しかし次の日、ノエルとリアムのツーショット写真と共に再結成とイギリス、アイルランドのツアー開催のアナウンスをしたのだ。

銃声は止んだ。星が一列に揃った。長い待ち時間は終わった。見に来てくれ。テレビ放送はしない。

再結成をアナウンスした8月27日で、15年前の解散したタイミングは8月28日というのは意図したものだろうか。
これもまた衝撃的なアナウンスだった。

この15年間、ノエルもリアムもソロで活動し、お互い日本にも度々来ていた。フェスでチラ見することはあっても、ちゃんと観ようと思ったことはなかった。音源さえあまり聞いてなかった。
自分はOasisが好きなのであって、ソロが好きなわけではなかった。
ノエルの言葉を借りるなら、"The great wait is over"だ。自分の中で15年止まっていたOasisとの物語が動きだした。

アーティストと私個人の物語はすごく大事なものだと思う。もちろん、楽曲が最初にあり、次にアーティストのメッセージや背景があって、それがきっかけで好きになるものではある。
しかし、例えば自分が苦しい時期に聴いていて助けられてたと感じた曲と、平穏な時期に聴いていた曲とではまた思い入れも少し変わってくるだろう。
アーティストと私個人の物語なんてのは、周りから見たら知ったことない話しだし、かなり自己満足に近いものかもしれない。
それでも、我々自身の人生の主人公は1人しかいないし、その人生に彩を添えてくれる、アーティストと私個人の物語は大切にして欲しい。

The KillersとOasis、どちらも15年前の2009年に自分の人生に影響を与えた2組の物語が大きく動き出したという意味で2024年は特別な1年だった。

いいなと思ったら応援しよう!