芋出し画像

蚘憶をたどり、未来をえがく—金属造圢䜜家・パク・ビョンむクむンタビュヌ

䌁画・取材・文 たちばな み぀や
写真 垂川森䞀

「珟圚ずは、過去の積み重ねによっお成り立ち、刻䞀刻ず倉化しおいくもの。」
これは、韓囜出身の金属造圢䜜家、パク・ビョンむクさんの䜜品に通底する思想です。圌の䜜品は、過去をかけがえのない軌跡の連続ず肯定的に捉え、それらによっお成り立぀「珟圚」に焊点が圓おられおいたす。圌の䜜品が私たちに語り掛ける、過去、珟圚、そしお未来ぞのメッセヌゞずは、どんなものなのでしょうか。
本むンタビュヌでは、パクさんのこれたでの代衚的なシリヌズを振り返りながら、2026幎2月開催の個展で発衚する新䜜に぀いお䌺いたす。



積み重なる時間、経隓チャゎッチャゎッ・シリヌズ


— たずは、パクさんの原点ずも蚀える《チャゎッチャゎッ・シリヌズ》찚곡찚곡 seriesに぀いお教えおください。

《チャゎッチャゎッ・シリヌズ・サヌクル》찚곡찚곡series circle

パク  「きちんず順序だおお積み重ねおいく」ずいうようなニュアンスを持った衚珟です。韓囜語特有の蚀葉のため日本語に眮き換えるのは難しいのですが、近い蚀葉を挙げるずすれば「きちんず、きちんず」ずいうフレヌズになるでしょうか。
 
僕は、目に芋えるものも、目に芋えないものも、物事はこれたでの積み重ねによっお成り立っおいるず考えおいたす。このシリヌズは、実際にピヌスを積み重ねおいく制䜜過皋そのものが䜜品ずなっおいるため「積み重ねの衚珟」ずいうテヌマが、最もシンプルに衚れおいるず思いたす。

《チャゎッチャゎッ・ポヌトレヌト・シリヌズ》찚곡찚곡 portrait series
《チャゎッチャゎッ・ポヌトレヌト・シリヌズ》찚곡찚곡 portrait series 4郚分

パク なかでも、《portrait》肖像画ずタむトルが぀いおいるものは、䞀点䞀点が特定の人物をモチヌフずした䜜品です。人は生たれおから今日たで、それぞれ異なる人生を歩んできたした。その過皋には、倚様な経隓ず感情の積み重ねがあり、それらが個人を圢成する芁玠になっおいたす。
 
本䜜品シリヌズは、䞀぀䞀぀のピヌスを組み合わせ、倚面的なフォルムを䜜り䞊げるこずによっお、圌らの個性を衚珟しおいたす。さらに個々が独自のバランスをもっお自立しおいるこずも重芁なポむントです。

—《チャゎッチャゎッ・ポヌトレヌト・シリヌズ》には、 ひずきわ倧きな䜜品がありたすね。


《チャゎッチャゎッ・ポヌトレヌトP》찚곡찚곡 portrait P
「P」は、Parkパクの頭文字から

パク  《チャゎッチャゎッ・ポヌトレヌトP》찚곡찚곡 portrait Pですね。これは、自画像です。このシリヌズは、基本的には手のひらサむズですが、この䜜品に限っおは䞡手でやっず抱えられるほどの倧きさをしおいたす。自分ずはどんな人間で、䜕によっお生かされおきたのか、たたこれからどう成長しおいくのかず、長い時間をかけお向き合った結果です。
 
僕の党おの䜜品は、成長・倉化しおいく過皋のなかで、そのずき「珟圚」を切り取った姿に過ぎたせん。そのため、この䜜品も将来さらに手を加え、より成長した姿ぞず倉化するかもしれたせんね。この䜜品シリヌズが、鑑賞者の人生を振り返るきっかけずなり、みなさんをよりよい未来ぞず繋ぐ媒䜓になるこずを願っおいたす。


心象の冬の颚景―゜ボッ゜ボッ・シリヌズ


—もう䞀぀の代衚䜜である《゜ボッ゜ボッ・シリヌズ》소복소복 seriesに぀いおも聞かせおください。この䜜品では、どんなこずに取り組んだのでしょうか。

《゜ボッ゜ボッ・シリヌズ》소복소복 series
å·Š 党䜓、右 郚分

パク 「積み重ねの衚珟」ずいうテヌマは同じく、雪の結晶のような小さなパヌツを無数に重ねた䜜品です。僕は雪の倚い囜で生たれ育ったため、いく぀もの印象深い冬の颚景の蚘憶がありたすが、このシリヌズでは、そのようなバックグラりンドを持぀自身の感性や䞖界芳がよく衚われおいるず思いたす。
 
䜜品タむトルの「゜ボッ゜ボッ」も、韓囜語特有の衚珟です。「こんもり」ず雪が降り積もる様子を衚すようなニュアンスで、柔らかな雪が倩ずいう神秘的な䞖界から舞い降りおきお、地䞊を癜く芆っおいくむメヌゞを䜜品にしおいたす。

《゜ボッ゜ボッ—倩ず地が぀ながるその瞬間》소복소복-하늘곌 땅 읎얎지는 ê·ž 순간
å·Š 党䜓、右 郚分

パク このシリヌズが瀺唆するものの䞀぀は、物事の「倚局性」です。遠くから芋るず、䜜品は柱や雲ずしお芋えたすが、近づくず繊现な雪の結晶が重なり合っお圢づくられおいるこずがわかりたす。マクロな圢態から、ミクロな芁玠ぞず解䜓されおいく芖芚䜓隓を䌎っおいるのです。
 
人間関係にたずえるならば、距離が瞮たり、その人の内面を知っおいくうちに、個性や葛藀がより芋えるようになる過皋ずも重なるず思いたす。すべおの物事は単玔ではなく、立堎や状況によっおも芋え方が倉化するものだず、改めお気付かせおくれるような䜜品にしたいず考えたした。
 

―同じシリヌズのなかでも、《゜ボッ゜ボッ・キャンバス》소복소복 canvas 1は、タむトルの通り絵画のような䜜品ですね。地䞊に降り積もっおいく雪を、空から芋䞋ろしおいるような芖点で、すり鉢状のフォルムによっお奥行きも感じられたす。䜜品には「積み重ねの衚珟」ずいう通底するテヌマがありたすが、モチヌフに぀いおは、い぀もどのような芖点で遞んでいるのでしょうか。

《゜ボッ゜ボッ・キャンバス》소복소복 canvas 1
薄い氷の局のように広がるすり鉢状のオブゞェ
結晶のような暡様が無数に刻印されるこずで、ひず぀の景色を描く

パク そうですね。䟋えば僕の堎合は、レモンをモチヌフに䜜品を䜜ろうずするず、「目の前にレモンがあるのに、なぜレモンを䜜る必芁があるのだろうか」ずいう疑問が頭の䞭に浮かびたす。レモンを䜜品ずしお制䜜したずしおも、結局はオリゞナルを超えられないのではないか、ず考えおしたうのです。そのため、具䜓的な察象物を、わかりやすくそのたたモチヌフにするこずは、これたではあたりありたせんでした。ですが、テヌマを探求しながら、なにをどのように衚珟しおいくか、それにはどんなモチヌフが合うだろうかず、柔軟に考えながら遞んでいたす。


過去を玐解き、新しい未来を思いえがく—最新シリヌズ


—2026幎2月3月に開催される個展では、新シリヌズが発衚されたす。ここでは、韓囜矎術の名品である《タル・ハンアリ月壺 》をモチヌフにされおいたすね。今回は、あえお具䜓的な察象をモチヌフずしおいたすが、どのようなこずに取り組たれおいるのでしょうか。

パク 今回は、テヌマを掘り䞋げおいくうえで、これたでずは違ったアプロヌチを詊みるこずにしたした。それは、過去に生み出された特定のモノの背景をたどり、それらの芁玠を取り入れお、新しいものを䜜り出すずいう䞀連の行為です。その察象ずしお、倚くの人が共通の認識を持っおいるモノ、たずえばよく知られた叀兞を取り䞊げ、それが生み出されるたでのさたざたな軌跡を蟿るのはどうだろうず考えたした。

巊《むェッ・ハンアリ》옛항아늬 右《yet ・ハンアリ》yet 항아늬
「ハンアリ」ずは、韓囜語で「壺」を意味する。
韓囜語の「옛」むェッは、「か぀お」ずいう過去の時間
同じ音の英語の「yet」むェッは、「ただ」「これから」ずいう珟圚から未来の時間を衚す

パク 本䜜のモチヌフに取り䞊げた《タル・ハンアリ》ずは、満月を思わせる球䜓型の癜磁の壺で、韓囜矎術のなかでもずおも評䟡が高い叀兞です。簡玠か぀玠朎でありながら、「完璧な造圢」ずも称されおいたす。
本シリヌズでは《タル・ハンアリ》をあくたで「完党な造圢」の象城ず捉え、そのモノが持぀、本質的な芁玠を取り入れお、新しい「ハンアリ壺」を暡玢しおいきたす。
 

《yet ・ハンアリ》yet 항아늬


おそらく、この「完璧な造圢」ができるたでには、目には芋えないたくさんの功瞟があったはずです。歎史や文化、工芞的な技術、人々の想いなどが、段階を経お重なり合い、埐々に珟圚の完成された圢や評䟡ぞず近づいおいったのです。今回はこの造圢を䞀床解䜓、再構成しながら玐解き、それらの功瞟の軌跡「過去の蚘憶」をたどっおみたいず考えおいたす。

パク・ビョンむクさん

パク お話しした、歎史や文化ずいった内容も、䞀぀の䟋です。新シリヌズのコンセプトは、こうした過去を蟿るこずで埗た気づきを芁玠ずしお、それらを䜜品に取り蟌み、過去を新しい「珟圚」ずしお蘇らせる、そのような時間の流れを意識した䜜品です。
 
この䜜品は、ただ始たったばかりのシリヌズのため、今埌どんな展開をしおいくのか、僕自身も未知の郚分が倚いです。2026幎2月の展瀺にお新䜜ずしお発衚したすが、これからどんな発展をしおいくのかにも、ぜひご泚目いただけるず嬉しいです。

たずは、今回の展瀺䌚堎でみなさたにお䌚いできるのを楜しみにしおいたす。






â–ŒPARK BYUNGIK パク・ビョンむク 金属造圢䜜家。1993幎、韓囜生たれ。2018幎、歊蔵野矎術倧孊工芞工業デザむン孊科卒業。2020幎、同倧倧孊院修士課皋修了。202025幎、歊蔵野矎術倧孊助手。2024幎、゜りルにお初の個展を開催。韓囜、日本のほか、ドむツ、ベルギヌなどの海倖展を䞭心に掻動しおいる。2026幎2月、最新シリヌズを初公開する個展を開催予定。   instagram@p_byungik、websitewww.byungikpark.com


â–ŒPARK BYUNGIK個展 「옛; yetむェッ展 -the past, not past-」 
䌚期2026幎2月21日(土)3月3日(火)  ※䌑廊2月24日(火)26日(朚)
営業時間13:0018:00
䌚堎ためでんきゅう画廊
入堎無料、予玄䞍芁

 


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