釣りのこと①(カワハギの場合)
始めに書いておくが、これは自分の趣味のことをぺろりと書いているだけで、誰の役にもたたないものであると思う。
釣りをはじめて4ヶ月になる。
釣りがこんなに面白いものとは思わず、いつ捨てても良いやと三千円で買った初心者用の竿とリールとラインをもって海に行き、ちょい投げやサビキを楽しんでいる。
富津でキスやメバル、八丈島でムロアジ、若洲公園でサバ、木更津の沖堤防ではイイダコなんかが釣れた。
けれどもそれらは、先に述べた通り、釣れたものであって釣ったものではなかった。
釣りをしたことのない人からしたら何をいってるやらなものなんだろうけれども、針にイソメをつけて魚のいそうな海に垂らせば、魚は何となく釣れてしまうものなのである。
食えるか否かや、釣りを面白く感じるか否かなどはともかくとして。
おしりの穴みたいになる顔や、ちいちゃいキバ、ぬらりとした体、洗っても落ちない独特の臭い、加えて勝手に千切れるという恐ろしく謎の生き物、イソメに四苦八苦しながら、私は何となく釣れる魚たちに一喜一憂していた。
そのほとんどを煮付けやからあげにして美味しくいただいていた。
が、
そんなある日、居酒屋で初めてカワハギの刺身を食べた。
上品な味、ムチムチとしっかりとした歯応え、肝醤油の濃厚さと海の香り。ヒエー!何てうまいんだ!片手に辛めの日本酒を握りしめたまま、私はため息をついた。
死ぬほどカワハギの刺身を食べてえ、私はすぐにカワハギを調べた。
なんということか、わりと近場で釣れる上に、冬はカワハギのハイシーズンなのであった。
当たりが分かりやすい方がいいというので、グアムに行く際に買った短め細めの竿を抱えて江ノ島にすっ飛んでいった。
餌は冷凍の剥きアサリ、仕掛けは市販のこれを多目に用意した。
ブランコでも酔う女故、船には乗れず無謀にもおかっぱりで刺身にできるサイズを狙う。
何でもいいから釣れたら良いなあというあまっちょろく、せこい思いはなかった。カワハギ、カワハギを釣って食う!
朝5時から何度も何度もアサリに食い付くキタマクラを海に返し、延々と竿を上下にゆすること4時間、グビビと竿がしなり、ゆっくりと海面に顔を出したのは27センチの驚きサイズのカワハギだった。
こんなのが釣れてしまうなんて。戦いた。
たぶん、海の底で魚たちも戦いていたとおもう。
余談だが、カワハギの角は弱点で、折ると即死しちゃうらしい。
ショウリョウバッタが驚くとゲロを吐いちゃうのと同じくらい、どうしようもなくていとおしい生体であると思った。
血抜きをし、クーラーボックスに放り込んでからもずっと興奮していた。なんどもクーラーボックスをあけて、カワハギを見ては小躍りした。
そこからは本当に何も釣れなかったが、それでもずっと楽しかった。
ばかすかカワハギを釣っている人たちもいたようであったが、そんなのはもう関係なかった。
カワハギはもちろんお刺身にして、肝醤油でいただいた。
自分で釣ったということが美味しさを倍増させた。
始めて魚を「釣った」せいで、釣りがますます面白くなってしまった。
たまらん。
たまらんすぎたので、ブログではないにしろ、とかくどこかに記すべきと思った。
これを見てカワハギを食べたい何なら魚釣りをしてみたいと思う人が一人でもいてくれれば、とも思う。
