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鼻栓

    エレベーターに乗ろうとホールに向かったら、同僚のKさんに、「こっちこっち」と、呼ばれた。
    いつも通り、目立つ華やかな雰囲気。
    だが、そんな事は気に掛けていないような、いつもの人懐っこさ。

    変わったことと言えば、今日はマスクをしている。

    大きな目が、無遠慮に迫ってくる。

    想定内、今日はなんだ?

    「ねぇ?見て分かりますか?」

    「なにが?意味がわからんけど?」

    「えっとね。花粉だと思うんだけど、もう鼻水凄くて!ティッシュで鼻栓して、マスクで誤魔化してます」

    キャハっと笑うと、彼女はマスクを下げて鼻栓を見せた……

    (え?なんで俺に鼻栓みせんの?うちの妹でも、そういうのわざわざ見せないけど?)
    (もしかして、なんか面白い事を言えって、圧なのか?)

    想定外、回路は閉じた。

    「大丈夫。鼻水たれてないし、鼻栓があるとは思わなかったよ……」

    それしか言えなかった。あまりの不意打ちに爆笑も出来なかった。

    なんなんだろう……確かに親しいけど、それだけだ。
    以前、ある先輩女史に「主婦友達」と言われた事があった。

    そのあと、普通に社食で、うどんを食べた。

     
     
    ガレージ・ミュージシャン🎸物書き✍️ 小説・エッセイを書きつつ音楽活動。 バンド Studio-99のギタリスト。 海と波乗り。 SoundCloudで楽曲を公開中 https://x.gd/tYGRA

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