メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

あの田舎の倏は幻だずしおも

    deepblue

    【シロクマ文芞郚:ゆっくりず】
    ※小牧幞助様䞻催のお題に寄せお


    ゆっくりず目を芚たす。

    カヌテン越しの朝日ず、
    小鳥のさえずりの䞭で。

    ああ、それはたるで
    『赀毛のアン』や『ハむゞ』の䞖界


    そんな倢を描いた、小五の倏䌑み。

    圓時の小孊生は、珟圚のように
    習い事やお受隓の塟通いなど
    さほどしないのが普通だった。

    ルミは、郜䌚から田舎の叀民家ぞ
    匕っ越しおしたった芪友に招かれ、
    この田舎町にやっお来た。


    たさにハむゞの劂く、
    屋根裏の薪眮き堎を改装した
    芪友の郚屋にワクワクする。

    ここで暫く逗留し、
    田舎の生掻を満喫すれば、
    宿題の絵日蚘や、倏䌑みの䜜文の
    ネタには困る事もなさそう。

    そんな打算も少しはあった。


    倏の朝、もう明るくはあるが、
    ラゞオ䜓操にはただ早い時間だ。

    ルミは芚醒ず埮睡みの間で、
    ゆらゆらず心地良く揺蕩っおいた。


    『ピヌピヌガガガ💥』


    窓の倖から、ずお぀もない倧音量で
    ラゞオのノむズが響き枡る。

    「ヒッな、な、な、䜕っ」


    『皆さん、おはようございたす。

    町内攟送をいたしたす』


    「・・・町内攟送」

    時蚈を芋れば、ただ早朝時前。

    「り゜でしょ💧」


    『はじめに蟲区攟送です。

    本日は、ツマグロペコバむの

    防陀日ずなっおおりたす。

    必ず田圃に蟲薬を散垃しお䞋さい』


    「の、蟲薬
    ツマグロペコバむっお䜕」


    『続いおは蚃報です。

    班の小林トメコさんは、

    予お療逊䞭でありたしたが、

    昚倜、逝去されたした。

    お通倜はご自宅にお本日

    午埌䞃時から・・・』


    「えヌ朝からそんなお通倜の
    連絡ええ村人党員来るの
    マゞおか個人情報」


    『最埌にお願いです。

    班の䞭山さん宅のワンちゃん、

    コロが居なくなりたした。

    癜の雑皮で右耳が茶色。

    青い銖茪をしおいたす。

    芋かけられた方は䞭山さん、

    たたは区長たで連絡を・・・』


    「そんな事たで町内攟送ヌっ」


    カルチャヌショックに目眩がする。

    思い描いたのずは党然違うが、
    コレがルミにずっおは貎重な
    䞀倏の冒険の幕開けであった。


    その時、ノックの音がした。
    ず蚀っおも、コンコン♪では無い。
    『ボフボフ』だ。
    䜕故なら、客間が和宀でフスマだから。


    「おはよヌ。起きおる」

    「起きるよそりゃ。䜕あの攟送」

    「町内攟送。汜車の郜合で早くに
    家を出る人も居るから、
    こんな時間に攟送やるんだよね〜」

    「ビックリするわ」

    「だよねヌ。あははは」


    芪友のアダは、屈蚗なく笑った。

    郜䌚で䜏んでいた頃は、
    ちょっず病匱で色癜で、
    神経が现かい所があり、倧声や
    倧きな物音には敏感な子だった 

    ず、思っおいたが


    「朝ごはん、ラゞオ䜓操の埌だけど
    その前にばあちゃんず畑ぞ行かない」

    「畑䜕すんの」

    「トりモロコシずかトマトずか、
    あずキュりリやスむカを取るよ」

    「そ、そんなにあるの」

    「キュりリ、䜓操の前に貰っお
    食べよう朝は矎味しいよ」

    「ぞぇ〜🀀 うん、行く」

    「じゃあ着替えたら行こうね」

    「はぁい」


    芪友んちの畑は、小さいがたるで
    宝の山だった。

    朝露をたずっお光るトマトや、
    サボテンかず思うくらいにトゲトゲの
    キュりリにビビりながら、
    収穫を手䌝うのは楜しい経隓だ。

    「キュりリはトゲトゲが新鮮なの。
    売っおるのはあちこち擊れお
    トゲが取れちゃうんだっお」

    「ぞヌ、知らなかった」

    「ハむ」

    枡されたのは、海苔䜃煮の空き瓶に
    入った麊味噌だ。

    「これ付けるず矎味しいよ」

    今、蔓から切ったばかりの
    トゲのあるキュりリは、
    䜕やら癜っぜい粉を吹いたような
    マットな色をしおいた。

    「癜いの、蟲薬じゃないの」

    「違うよ。キュりリが自分で
    お肌を也燥から守るために出しおる
    ナントカっお成分なんだっお」

    「食べお平気なや぀」

    「平気平気〜」


    そう蚀っおアダは、瓶の味噌に
    キュりリを突っ蟌むず、
    豪快に霧った。


    パリッ


    小気味の良い音。
    その音で、急に空腹を感じた。

    ルミはおっかなびっくりで、
    自分の取ったキュりリを芋た。

    切った所から玉のように、
    透き通った氎が噎き出しおいる。

    今、ただ生きおいる。

    キュりリがそう告げおいるようだ。


    意を決しお、ルミも瓶にキュりリを
    突っ蟌み、味噌の付いた先端を霧る。

    パリッ

    やはり同じ音がしお、
    匷く噛たずずもホロリず砕けるほど
    パリパリの新鮮なキュりリ。
    溢れる氎分ず、驚きの甘さに
    ルミは思わず声を䞊げる。

    「䜕だコレおいしヌ」

    それは、今たで食べたこずのない
    党く別の野菜であった。

    ちょっず苊手な青臭い銙りも、
    青空の䞋では、山や土から
    移ったような、爜やかさをプラスする

    アダは䞀気に䞀本平らげ、
    曎に䞀本取っおたた霧り぀いた。
    ルミもそれにならい、二人で四本の
    キュりリを秒で完食した。

    「あヌ、矎味しかった
    じゃあラゞオ䜓操行こっか」

    「うんおばあちゃん、
    ご銳走様でしたヌ」

    「ぞぇぞぇ、行っずいでヌ」


    驚いたこずに、ラゞオ䜓操も
    あの倧音量の町内攟送で
    行われるのだった。

    ルミの䜏む郜䌚では、
    䌚堎の広堎や公園にやっお来る
    圹員のおじさんおばさんが
    ラゞカセで流しながら䜓操する。

    それでも『うるさい』ず
    苊情を蚀う人も居た。

    なのに、早朝時半から
    村䞭響き枡る“ラゞオ䜓操の歌”ず
    それを歌いながら集たっおくる
    村䞭の子どもたちや倧人たち。 

    おおらか過ぎる・・・

    こうしおルミは、自分の思い描いた
    田舎の生掻ずは少し違う、
    村の䞀日をスタヌトした。

    近くの小川でシゞミ貝を探し、
    おばあちゃんに味噌汁を䜜っおもらう

    アサリよりも小さいが、
    淡癜でプリっずしたシゞミ貝は
    初めお食べるルミを虜にした。


    河原に繁茂する背の高い野草、
    “ゞュズ玉”の黒い実を集め、
    毛抜きで芯を抜くず、穎が空く。

    そこぞ針で糞を通すず、
    ネックレスが簡単に䜜れた。


    「わぁ〜凄い」

    玠朎な黒いネックレス。
    䞀粒ごずに、色や光沢が埮劙に
    違っおいお面癜く、軜くお矎しい。

    倢䞭になっお二本のネックレスを
    䜜補した。䞀本は母にあげよう。

    河原にいるず、沢山の野鳥が
    代わる代わる珟れた。

    真っ癜な鷺、倧きな灰色の鷺。
    行氎するカラス。
    チョコチョコ歩くセキレむ。

    茝く宝石のようなカワセミが、
    噚甚に氎䞭ぞダむブしお
    小魚を獲る姿に感嘆する。

    息を朜めお眺めおいるず、
    トム・゜ヌダヌになった気がした。


    倕立の雷雚が去った庭で、
    畑のスむカを芪友ず食べた。

    サむズは小さいが、濃厚な甘さず
    倏草の銙りを持぀矎味しいスむカ。 
    䞭には実が黄色いのもあり、
    珍しくおテンションが䞊がった。


    ある日、䞀人で村の小道を
    歩いおいるず、偎の怍え蟌みが
    ガサガサず揺れた。

    猫

    思わずしゃがんで芗き蟌む。

    が、猫ではなかった。


    「コッ」

    「に、ニワトリ」


    初めお間近で正面から、
    ニワトリの顔を芋おしたった。

    思いの倖、怖い顔だ。
    恐竜の目぀きをしおいる。

    ルミは思わず、埌ろぞ跳んだ。


    ニワトリは、ふおぶおしい顔で
    ルミを䞀瞥するず、プむず
    顔を背けおトコトコ歩き出す。

    その埌ろ姿を、ポカンず芋送るルミ。

    「野良ニワトリいや、ないない」

    倚分、䜕凊かの鶏小屋から
    脱走しお来たのだろう。

    捕たえた方がいいのかな

    そう思ったが、絶察ムリな気がする。

    ず、突然ニワトリは道端で
    座り蟌んでプルプル震えながら
    小刻みに鳎き始めた。

    「えっどどど、どヌしたの」

    駆け寄ったルミをゞロリず睚み、
    ニワトリはスックず立ち䞊がる。

    「ええヌヌヌ」

    ニワトリの足元に、
    薄いベヌゞュ色をした卵が個。

    「たっ卵生んだ雌鶏なの」

    驚くルミを尻目に、ニワトリはたた
    プむず顔を背けお歩き出し、
    よそのお宅の怍え蟌みを朜っお
    姿を消した。


    「えっえっ生み逃げ
    どヌすんのこれえヌヌヌ」

    ルミは、恐る恐る卵を拟い䞊げる。

    普段芋慣れた卵よりも
    若干小さい生みたお卵は
    殻がシットリず湿っおおり、
    そしお、ほんのり枩かい。

    「うわぁヌ・・・」

    それを持っお垰っお芋せるず、
    芪友の祖母はわははず笑い、
    茶碗にご飯をよそっおくれた。

    「ええモン拟ったな、この䞊に
    割っお食べな。矎味しいで」


    数分前に生たれた卵を、
    癜いご飯に割った。

    癜身が垂れずにご飯の䞊で、
    䜎い山を圢䜜り、たたその䞊に
    オレンゞ色を垯びた小ぶりの黄身が
    こんもりず乗っかっおキラキラ茝いた

    生たれお初めお、卵かけご飯を
    “矎しい”ず思った。

    少しだけ醀油をかけお、
    しばし戞惑っおから、黄身を箞で厩す

    黄身はすぐには厩れず、
    箞の先に匟力で抵抗したあず、
    プツン、ず手応えがしお砎れ、
    䞭身が溢れ出した。

    䞀口食べた時、ルミは思った。

    倩䜿の食べ物だ

    倩䜿の䞻食は知らないが、
    きっずこんな味だろう。

    そう感じた。


    その倏は、ルミにずっお
    忘れ難い想い出ずしお残っおいる。


    「いいなぁ〜✚」

    ルミの孫のケむタは、
    虫や生き物が倧奜きである。

    それは、ルミの息子である父の圱響。
    息子はルミから、あの倏の田舎での
    䜓隓談を奜んで聞いお育った。

    「ボクも食べたぁい」

    「そうねぇ、卵拟いしに行こうか」

    「行くヌっ」


    最近、ネットで芋かけた逊鶏堎は、
    郜䌚から移䜏した若い倫婊が
    平飌で飌うニワトリが生んだ卵を
    探しながら拟えるず蚀う。

    少し遠いが、ルミがただ車を
    運転できるうちに、孫にもあんな
    心躍る䜓隓をさせおあげたい。

    幞い、圌の母芪もそういった
    自然や田舎に嫌悪を抱かないので、
    息子に蚪れた瞁をありがたく思う。


    今では遠い昔になった、
    あの田舎での暮らし。

    倢のような気もするが、
    鮮やかな蚘憶ず感觊が、
    薄れずに残っおいる。


    アダはどうしおいるだろう

    元気で居るだろうか

    お互いの家庭を持぀ず、
    遠く離れた友に䌚うのは
    そう簡単では無くなった。


    あの田舎を出お嫁ぎ、
    たた郜䌚で暮らす芪友は、
    ハむゞのように、故郷を恋しく
    思わなかったのだろうか


    そうだなぁ。

    そろそろ䌚いに行っおみようか。

    そしおたた、二人であの頃の
    䞋らないようでいお玠晎らしい
    田舎の話に興じおみよう。

    ルミは時蚈を芋た。

    そしおおもむろに、
    幎賀状から知っおスマホに入れた、
    芪友のメアドを遞択するのだった。



    #シロクマ文芞郚
    #ゆっくりず
    #倏の思い出
    #これからの家族のかたち
    #田舎暮らし
    #䌝えたい思い出
    #創䜜SS


    ↓ こちらに参加しおいたす。


     
     
     

    deepblue

     
     
    肩曞ナシだが文歎長い還暊女。 アニメ、挫画はベテランヲタク。 䞉十代から同人䜜家ずしお熱く 掻動するも、掚しの死ショック などから匕退😢 しかし、衚珟ぞの想いやたず noteず出䌚っお創䜜を再開。 䞻に田舎暮らしを語る゚ッセむず、 オリゞナルSSなどを曞き぀぀出版に向け勉匷䞭

    あなたぞのおすすめ