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9月10日(木)中小融資の保証上限が10億円規模へーー枠は広がっても検証は追いつくか

📰今日のニュース

中小融資、保証上限上げ 2.8億円から10億円に

設備投資・M&A促す 経産省検討


☝️一面のワケ

経産省が中小企業向け融資の公的保証枠を、2000年以来初めて大幅に見直そうとしているから。

❓今日の問

保証枠の拡大で、焦げつきは膨らまないか

📚目次

  • 保護から成長支援へ、初めて動く基本枠

  • 予算は増額、焦げつきも高止まりのまま

  • 成長の後押しと、納税者への跳ね返り


📝要点

経済産業省が、中小企業向け融資を支える信用保証の上限を、現在の2億8000万円から10億円程度へ引き上げる検討に入りました。

想定されているのは、売上高が年数十億円規模の企業で、大型の設備投資やM&Aを後押しする狙いがあります。

27年度予算の概算要求では、関連予算を前年度から合計700億円以上積み増しました。

一方で、焦げついた融資を保証協会が肩代わりする代位弁済は、25年度に全国で5491億円にのぼり、高止まりが続いています。

大きく踏み込もうとしている今回の見直しは、本当に中小企業の成長を後押しする仕組みになるのでしょうか。


📈保護から成長支援へ、初めて動く基本枠

中小企業の労働生産性は長年、大企業に比べて低い水準が続いており、人手不足や円安を背景にした倒産も増えています。

この構造をどう底上げするかは、経産省にとって長年の課題です。

中小企業政策は、1999年の中小企業基本法抜本改正で「格差是正」から「多様で活力ある独立した中小企業の育成・発展」へと理念を転換して以来、保護から成長支援へと段階的に軸足を移してきました。

ただしこれまでの成長支援は、事業承継の際に別枠で保証を追加できる特例や、経営者保証を不要にするスタートアップ向けの新制度など、基本の保証枠、2億8000万円を維持したまま周辺に特例を積み増す形で進められてきました。

2024年には産業競争力強化法が改正され、中小企業を卒業した従業員2000人以下の企業を新たに「中堅企業」と定義し、地域経済を牽引する存在として税制優遇や補助金で後押しする枠組みも整えられています。

中小企業政策全体がこうして成長支援の方向へ重心を移す中、今回検討されている信用保証の上限引き上げは、これまで手をつけてこなかった基本枠そのものに踏み込む点で、これまでとは一段踏み込んだ動きだといえます。


💰予算は増額、焦げつきも高止まりのまま

経産省は27年度予算の概算要求で、信用保証関連に518億円、日本政策金融公庫向けに604億円を計上しました。

前年度の184億円、209億円と比べると、いずれも3倍近い規模です。

大型の設備投資やM&Aに踏み出す企業向けに、保証できる金額を増やすための予算です。

一方で、信用保証協会が焦げついた融資を肩代わりする代位弁済は、25年度に全国で5491億円にのぼりました。

過去10年で最大だった前年度からわずかに減ったとはいえ、高止まりが続いています。

保証の上限が上がれば、それだけ一件あたりの保証額も、保証される融資の総量も増えます。

焦げつきは保証された融資の中から生じるため、対象を広げるほど、それだけ焦げつきの総量、リスクも広がりかねません。


💸成長の後押しと、納税者への跳ね返り

今回の見直しが実現すれば、中小企業の中でも規模の大きい層に、成長投資の原資が届きやすくなる可能性があります。

売上高が年数十億円規模まで育った企業が、大型の設備投資やM&Aに踏み出しやすくなるという点では、中小企業政策全体が目指す成長支援の方向に沿った動きです。

ただしその裏側では、保証枠が広がるほど、将来の代位弁済が増えるリスクも大きくなります。

代位弁済の多くは日本政策金融公庫の信用保険で再保証される仕組みになっており、そのコストは最終的に公的資金、つまり納税者の負担に跳ね返ってくる可能性があります。

地域の成長を後押しする可能性がある一方で、焦げつきのリスクも高まる、というのが実情に近いところです。


🤔私はこう考える

今回示された予算規模は500億円を超える積み増しですが、実際にどれだけの企業が10億円規模の保証を必要としているかについて判然としません。

記事は金融機関へのヒアリングを行い「ニーズはある」という回答のみを提示するだけです。

予算の規模が需要の実証より先行している背景には、高市政権下では経済対策は成果が見えやすい看板を掲げるほど後押しを得やすく、効果の実証を待たずに規模を先に打ち出す方が予算を確保しやすいという事情があるのではないかと個人的には見ています。

私が危惧しているのは公的な保証や融資を急拡大した結果、後になって焦げつきが表面化した前例があるからです。

コロナ禍のゼロゼロ融資は、「資金繰り支援」という看板の下で保証付き融資が急速に拡大し、返済が本格化した局面で代位弁済の急増というツケが表面化しました。

今回はまだ検討段階ですが、規模の先行と検証の遅れが重なれば、同じような経過をたどる可能性は排除できません。


👀この記事で身につけておきたい3つの視点

  • 経産省は、中小企業政策の重心を保護から成長支援へ移す中で、これまで手をつけてこなかった信用保証の基本枠そのものに、初めて踏み込もうとしている

  • 27年度予算では信用保証関連の予算を前年度の3倍近くに積み増す一方、代位弁済は25年度も5491億円と高止まりしている

  • 保証枠の拡大は中小企業の中でも規模の大きい層への成長投資を後押しする可能性がある一方、焦げつきのコストは公的資金を通じて納税者に及びかねない


💡結論・メッセージ

信用保証の上限を26年ぶりに見直す検討は、中小企業政策が保護から成長支援へと重心を移してきた流れの中で、これまで手をつけてこなかった基本枠に踏み込む、成長を促す支援策の一つだといえます。

ただし、なぜ「10億円」という規模が適切なのかという根拠や、拡大した保証枠が実際にどれだけ成長投資に向かうのかという検証は、まだ十分に示されていません。

公的な保証や融資を急拡大した結果、後になって焦げつきという形でコストが表面化した例は過去にもあります。

制度を大きくすること自体を目的化せず、拡大した枠が本当に地域の成長につながっているかを、事後にどう検証していく仕組みを設計するかが、これから問われることになります。


📰今日のその他の一面

リニア 難路を進む(下)かけ声で終わらせるな 早期開業へ政権が旗振る時

政府はリニアの「早期開業」を繰り返し掲げるものの、財政支援や推進体制の中身は乏しく、責任の所在を曖昧にしたまま掛け声だけを重ねている印象が拭えません。工期遅延もあり工事費用は膨張しています。需要が細る人口減少下で巨額投資に見合う効果があるのか、そもそもリニアという事業自体が本当に必要なのかという是非は、再度問い直す必要があるのではないかと私は思い続けています。

ペロブスカイト、寿命1.5倍 世界最高水準 東芝・信越化学が開発

湿気や熱で劣化しやすいこの太陽電池を、高温多湿の過酷な条件でも従来より長時間性能を維持させることに成功したようで、耐久性能は世界最高水準に達したとされています。狙いは、シリコン型で量産ノウハウを蓄積した中国勢が量産体制を確立する前に、耐久性という軸で優位を築くことにあるとみられます。シリコン型は量産・価格競争で新興国勢に主導権を奪われた経緯があり、同じ轍を踏むまいと各社が開発を急いでいる構図が読み取れます。


✉️追伸

ちょっと雨ヤバいですね。

各地で信じられないくらい降っていて慄いています…

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