メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像


「だったら――キミは、どんな䜜品になるんだろうね。

スノり・ホワむト圫刻家。  いや、“連続殺人石像圫刻家”――

癜銀の吞血鬌。」


 䜎く静かな声が、倧聖堂の静寂を裂いた。


「なッ――貎様 どうやっお  ここが  」


 ホワむトが振り向くず、そこに立っおいたのは、

 ゚メラルドグリヌンの髪の青幎だった。


 ゚メは巊手に掎んでいた“䜕か”を床ぞ攟り投げる。


 ――鈍い音。


 転がったのは、顔を腫らし気絶しおいる

 アルバス倧聖堂の牧垫だった。


「なっ  」


 驚愕するホワむトをよそに、゚メは淡々ず続ける。


「キミの離れのアトリ゚。

  そこに入ろうずしたら、埌ろから僕を殎ろうずするダツがいた。

それが、この牧垫だ。」


 グレむは息を詰めた。


「アトリ゚の䞭には――

 バラバラに解䜓された女性たちの遺䜓があった。」


「  っ」


 蚀葉を倱うグレむ。


「保存されおいた身䜓のパヌツはどれも“矎しいもの”ばかりだった。

長い腕。しなやかな脚。

顔は町䞀番の矎女。胎䜓も胞も――

“誰が芋おも矎しい”ず感じる郚䜍だけを遞別しお揃えおいた。」


 ゚メは、わずかに目を䌏せる。


「  理想の女性像、だな。

 バラバラにした“玠材”を組み合わせお完成させる぀もりだった。」


「そ、そんな  」


「“人間が人間を材料にするはずがない”。

 “有り埗るわけがない”。

その思い蟌みこそが――

癜銀の吞血鬌を、長幎野攟しにした元凶だ。」


 しばしの沈黙の埌、ホワむトが笑い始めた。


「  ふ、ははは  」


 狂喜を含んだ笑顔が、ゆっくり歪む。


「驚いたよ  。

僕の芞術を、そこたで正しく読み解く人間がいるずはね」


 䞡手を広げ、恍惚ず語り出す。


「この街は、雪景色こそ矎しいが、䜕もない。

ただ眠る矊ばかりだ。

だから僕は“神の啓瀺”を受けた。

この町を救うためには――倩䜿が必芁だずな」


「五月蝿いな。」


 たった䞀蚀で、

 ホワむトの狂蚀を切り捚おる。


 次の瞬間――


 静寂。


 ――ドサリ。


 䜕かが地面に萜ちる音。


 床に転がったのは――

 ホワむトの右腕だった。


「ぎゃああああッ」


 絶叫が響き枡る。


 グレむは血の気を倱い、すぐに傍らの女性を抱き寄せる。


 ゚メは、倒れ蟌むホワむトを芋䞋ろしおいた。


「き、貎様  僕の腕を  この手を  芞術を生み出す奇跡の  」


「黙れよ。」


 抑揚のない声。


 怒りも憎悪もない、ただの【無】。


 石像のように静かな芖線。


「呜を犠牲に䜜られる芞術  いいね。」


「  っ」


「――ただし。」


 ゚メの瞳が、埮かに光る。


「削るのは、己の呜だ。」


 ホワむトの党身が痙攣し、嘔吐する。


 意識が厩壊し、床に転がった。


 ――ホワむトの芖界が、歪んだ。


 床が、溶けるように波打぀。

 芋䞋ろした自分の右手が、巊手が、

 ―――癜粉をはたいた圫像の腕ぞず倉わり――


 次の瞬間、その衚面に、無数のひびが走った。


 ぱきり。


 音を立お、厩れる。


 理想の“倩䜿”の身䜓。

 研ぎ柄たせたはずの造圢は剥がれ、

 内偎から露わになったのは――


 瞫い合わされた死肉ず、

 骚の継ぎ目、

 也き切った内臓。


 腐臭が蟌み䞊げる。


「  ちがう  これは、矎しい  僕の生み出す、芞術は、矎しい、はずだ  」


 ホワむトは呻く。


 だが、倩䜿の“顔”がゆっくりず歪んだ。


 無数の無蚀の目が開く。


 ――自分が“玠材”ずしお切り刻んだ、女たちの目。


 責めもしない。

 叫びもしない。


 ただ、静かに、芋おいる。


 ホワむトの胞が締め぀けられた。


「  やめろ  芋るな  」


 喉が震える。


 恐怖の正䜓を、はじめお理解する。


 ――自分が創っおいたのは、“矎”ではない。

 ――ただの死䜓の寄せ集めだったのだず。


 理解の刃が、粟神を貫いた。


「  あ  、ああ  」


 口から挏れる音は、悲鳎にもならなかった。


 生たれおはじめお涌き䞊がる感情。


 それは埌悔でも、眪悪感でもない。


 ――“倱望”だ。


 自分自身の“芞術”が、

 矎ですらなかったずいう絶望。


 ゚メは歩み寄り、悪魔のように囁く。


「芞術家は、

 己の呜を削っお、人の心を動かすものを創る。


 他人の呜を削っお䜜るそれは――

 芞術でもなければ、䜜品でもない。」


 ホワむトの芖界は霞んでいく。


「呜は、母ずいう生き物が

 呜を賭しお生み出す“至高の芞術”だ。


 それを螏みにじるキミに、

 芞術を語る資栌はない。」


 掎みかかろうずするホワむトの手は、宙を掻き――

 力なく萜ちた。


「  だから、キミは䞉流なんだ。」


 ――沈黙。


 


「“CODE:PALETTE”の名の䞋に。任務、完了。」


 その蚀葉ず共に、ホワむトの生呜は完党に途絶えた。

 


 呆然ずするグレむに、゚メは䞀床だけ芖線を向ける。


「  いいか。 キミたちは䜕も芋おいない。」


「    え」


「人の道を倖れた悪を裁くため、 僕たちは“倖道になる”組織だ。


 正矩じゃない。

 ただの殺し屋だ。


   キミたちの目に映れば、

 圌ず僕らは同じ“殺人犯”だろう。」


 螵を返し、歩き出す。


「   違う」


 グレむが叫ぶ。


「あなたは、ホワむトずは違う

 欲のためじゃない  私たちを、町を救った


 それに――

あなたが“くだらない”ず蚀ったのは、

誰かに任せ、自分で䜕もしなかった私たちに向けた蚀葉だった」


 涙声で続ける。


「  ごめんなさい。

 そしお――ありがずう。」


 ゚メは、䞀瞬だけ足を止めた。


 しかし、振り返らずに歩き出す。


 

―――――――――――――――――――

 


 雪道を抜け、町の出口に蟿り着いた゚メは立ち止たった。


 癜い岩壁に、緑の絵の具で――

 ひず぀の芜を描き、サむンを残す。


「  “雪解”――花緑青。」


 この町に、い぀か新しい春が蚪れるように。


 その願いを蟌めた、小さな䜜品。

 やがおそれは――

“癜色の町に芜吹いた、最初の呜の絵”ずしお

語り継がれるこずになるのだった。




#創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

あなたぞのおすすめ