クリエイターでいるために選んだ“納得できる地獄”|漫画「ブルーピリオド 」への想い🎨
俺はねぇ、自分が納得できる地獄を選んだだけだよ
ブルーピリオド 16巻での、蝶矢先生の言葉。
作家であり藝大の先生である蝶矢に対し、主人公が「先生はなんで作家になったんですか?」という問いをしたときの返事だ。
私はこのセリフを見た時、この言葉が血に溶け込んで全身を回ったような、そんな感覚があった。
この漫画は、クリエイターや作家であることの面白さと苦しさを見事に描いてくれていると思う。
あまりにも共感できる部分が多くて、何もかもが私のお腹にずっしり響く。
この漫画を見て、「わたしも今、自分が納得できる地獄にきっといるんだ」って、そう思った。
この漫画がめちゃくちゃ好きだ。
高2で突然の絵との出会いで美術にのめり込んだ主人公・八虎が、日本で1番入学するのが大変と言われている(もはや東大よりも!)東京藝術大学への入学を目指していく物語。
この漫画の中には私の好きなものがたくさん詰まってる。
美術や絵画の解説が私の知識欲を満たしてくれて、
美しい絵がたくさん観れて、
主人公が成長していく過程と思考に没入できて、
名言ばかりの誰かのセリフにグッときて、
服飾専門学生だった頃の時代を思い出して目頭が熱くなる。
おこがましいのは承知だけど、私は多分主人公の八虎に似ている。
理由のない、言葉に表すよりも前に感動してしまうようなもの(美術、言葉、ファッションなどなど)をどうしようもないくらい好きだと思ってしまう自分と、
計算高くて無駄に世渡り上手な自分がいつも同居している。
この同居は相反するからこそ苦しいものだ。
八虎も何度も悩む。
普通の大学生になるのか藝大進むのか。
作家になるのかならないのか。
いっそ自分が死ぬほど何かの才能に優れていて、他は何もできなければ良かった。そしたら迷う余地もなく作家を選んで突き進めるのに。
いっそ自分がクリエイティブなものに価値を感じない人間であれば良かった。そうしたら迷わず“普通”に会社員になって、“普通”になることを選べるのに。
そんな葛藤が八虎からは何度も感じる。
わたし自身、学生時代の時にここまで細かく考えてなかった気がするけど、
この自分の特性を活かしたら、前者を優先する人生はきっと大変でお金ももらえなくて、後者を選ぶ人生はつまらないってことは無意識に想像していたと思う。
私は間をとって会社員としてクリエイティブをやることを選んだ。
たくさん悩んで、転職したりして、もちろん納得してる。
納得して出した答えだし、自分が選んだ結果だし、きっと何度選んでもこの答えに返ってくる。悔いだってない。
会社に許される範囲内で服を作り、デザインし、企画開発をすることが私の仕事だ。生業だ。
少し不自由。でもものづくりは出来る。これで良い。
でも、時々襲いかかる「つまんないなぁ」という気持ち。
「もっと面白いことしたい」という好奇心。
「何千枚も売れなくたって、誰か1人が喜んでくれるのだっていいじゃん」という自己中さ。
そういうものを押し込めて会社員をしてる。
多分これが、わたしにとって蝶矢先生の言っていた“自分が納得できる地獄”だ。
ただ私は、自分の“選択の結果”の上に立っているだけだと思っていたけど、もしかしたら少し甘かったのかもしれないと気づいたのだ。
八虎の気持ちが手に取るようにわかる。
世界観が一筋で分かりやすい、その人のスタイルや意志がある人(森先輩みたいな)に憧れる気持ちもわかるし、
どうしようもなく服(美術)が好きなのに嫌いになりそうになる気持ちもわかるし、
肩書きある人たちに言われたことや評価がトラウマになる気持ちも分かるし、
そもそも自分よりも才能に優れた人や友達を見て、落ち込んででもそれを悟られたくない強がりな気持ちも全部わかる。
でも、
それでもその世界から離れたくない気持ちが1番わかる。
八虎は過去の私だ。
私は会社員の地獄を選んでしまったけど、漫画の中の彼はきっと作家になる地獄を選ぶ。
たとえ漫画だとしても、彼のこれからをもっと見たい。
その理由はこの漫画は大好きで、続きが気になるからってだけじゃない。
それは私が歩めたかもしれないもう一つの人生だったかもしれないから。
そう思って読んでいる。
それでもっと漫画の中の解像度が上がる、そしてもっとこの話が大好きになる。
