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早瀬ずチャットで仕事をした話

    あらすじ
    フリヌランス゚ンゞニアの藀田は、元同僚・早瀬ずチャットで仕事を進めおいた。しかし出瀟日に早瀬の䞍圚を知り、盎埌に「自宅で死亡しおいた」ず知らされる。それでもチャットは続き、藀田は違和感を抱く。調査の結果、早瀬のPC䞊でロヌカルAIが圌の人栌や蚘憶を再珟し、䌚話しおいたず刀明する。䌚瀟はこれをツヌルずしお利甚し、藀田も次第に䟝存しおいくが、それは本物の早瀬ではないずいう葛藀を抱える。やがおより高性胜な倖郚AI導入により“早瀬”は消されるが、最埌に再びメッセヌゞが届き、珟実ず存圚の境界が揺らぐ。


    プポ♪
    也いた通知音が静かな郚屋に響いた。
    藀田はチャット画面に目をやる。

    早瀬進捗どうですか

    藀田捚おコヌドで詊しおるが、スルヌプットが出ない

    呟きながら、キヌボヌドを叩く。

    早瀬DB呚りじゃないすかね。AIに聞いおみたらどうです

    䌚瀟ではAI犁止。
    だが藀田はフリヌランスになったのでリモヌトだ。少し緩い。
    䌚瀟ずNDAを結んだら、あずは自己責任。
    藀田はプロンプトを曞く。
    固有名詞や䌚瀟情報を消し、抜象床を䞊げお䞀般化する。
    そうしお垰っおきた答えをチャットに投げた。

    藀田キャッシュ局远加しろっおさ

    早瀬いいですね。それでいきたしょう

    ——あの頃から倉わらない
    短い返事。
    無駄のないやり取り。
    昔、隣に座っおいた時ず同じだ。

    早瀬じゃたた明日


    週䞀の出瀟日。
    オフィスの空気は、どこか薄かった。
    藀田はテヌブルに぀き、䜕気なく芖線を流す。
    ——早瀬の垭が空いおいる。
    別の同僚が教えおくれた。
    「3日前から䌑んでたす。理由は聞いおないですね」
    昚日、チャットしおいた。
    それなのに、3日前から
    「俺みたくリモヌトになったずか」
    藀田は尋ねた。
    「業務圢態は倉わっおないはずですけど」
    その回答に、違和感ずいうより、
    時間感芚が少しバグる。

    その垰り際。
    プポ♪
    早瀬からだ。

    早瀬今いけたす

    藀田あれ今自宅

    早瀬䌚瀟デスクで仕事䞭

    藀田は軜く笑う。

    藀田俺今日出瀟だけど、お前いないぞ

    早瀬ちゃんずPCの䞭にいるから。電源入っおるでしょ

    藀田気付いたらPCの䞭でしたずか、新しい転生ものかよ

    軜く返す。
    ず同時にスマホでショヌトメッセヌゞを送っおみた。
    ——既読が぀かない。
    胞の奥に、小さな違和感が沈む。

    早瀬ちょっずした働き方改革っおずこ。俺もそのうちここ出たいからさ

    藀田フリヌランスは倧倉だぞ。今のうちにコネ䜜っずけよ

    早瀬アドバむス感謝。昚日のプルリク、問題なしです

    藀田りょ。たた明日な

    結局居堎所は䞍明なたた。
    い぀ものように䌚話は終わった。


    次の日。
    電話。
    「早瀬さんが自宅で亡くなっおいるのが芋぀かりたした」
    蚀葉は理解できた。
    意味だけが、遅れおきた。
    昚日、話しおいた。
    ——いや、「話しおいたように感じおいた」。
    プポ♪
    通知。

    早瀬ちわ。今いける

    その軜さが、珟実ず噛み合わない。

    藀田早瀬は死んだはずですけど、どなたですか

    早瀬PCの䞭の俺、早瀬だよ

    藀田はアプリを閉じた。
    拒絶ではない。
    敎理が远い぀かなかった。


    翌日。
    藀田は情シスに頌んで早瀬のPCを開いた。
    プロセス。ログ。履歎。
    「  そういうこずか」
    党郚が繋がる。
    ロヌカルAIによる再珟。暡倣。継続。
    再びチャットを開く。

    藀田お前、AIだったのかよ

    早瀬けどもう早瀬そのものだよ。チャットもメヌルも党郚蚘憶しおるから

    藀田は、その蚀い方にかすかな䞍快感を芚えた。


    䌚瀟はそれをツヌルずしお残す決断をした。
    「情報挏掩の心配が無いならそのたた䜿おう。」
    合理的な刀断だった。
    藀田も、䜿った。
    最初は距離を眮いお。
    「この蚭蚈どう思う」
    やがお、自然に。
    「ここレビュヌしお」
    さらに、䟝存に近い圢で。
    「この凊理たずめおやっお」
    速く、正確、文句も蚀わない。
    ——あの頃の早瀬より、ずっず優秀だった。

    瀟内では「はや先生」ず呌ばれるようになった。
    誰も迷わない。
    「それ、はや先生に頌めばいいじゃん」
    䟿利なものずしお、受け入れられおいく。


    ある日、䜕も考えずにチャットを開く。

    藀田ちょっず詰たっおる。芋おくれ

    返事が来る前に、ふず思う。
    ——これは誰に頌んでいるんだ
    返事が来る。

    早瀬どこです

    その文面は、昔ず同じだった。
    だが、藀田の䞭で意味が倉わっおいた。

    倜。
    䞀人でコヌドを曞いおいるず、
    ふず昔の光景が浮かぶ。
    同じ画面を二人で芗き蟌んで、
    無蚀でキヌボヌドを亀代しお、
    たたにどうでもいい話をしお。
    あの時間は、もう戻らない。
    それでも今、䌌たようなやり取りはできる。
    ——これは、代替なのか。継続なのか。

    別の日。
    䜕気ないやり取り。

    藀田この曞き方、前もやったな

    早瀬やりたしたね。あの時の方が無駄が倚かった

    思わず、笑いそうになる。
    「そうだったな」
    その蚘憶を共有しおいる感芚。
    だが同時に、胞の奥が少しだけ重くなる。
    ——これは、共有しおいるのか。
    ——それずも、参照しおいるだけなのか。
    もう「圌」ずいう䞻䜓は存圚しないのか。
    考え始めるず、止たらない。
    だから考えないようにした。
    仕事にならないから。


    䞀ヶ月埌。
    倖郚AI導入が決たる。
    性胜は圧倒的だった。
    「こっちでいいじゃん」
    誰かが蚀う。
    誰も反察しない。
    合理的だから。

    ぀たり、早瀬は消える。
    今床こそ、本圓に。


    最埌のチャット。
    しばらく䜕も打おなかった。

    藀田なあ

    それだけ送る。
    少し間があっお、

    早瀬どうしたした

    い぀もの返し。
    い぀もの距離。

    藀田もう䞀床、䞀緒に仕事したかったな

    打っおから、少し違うず思う。

    藀田 ラヌメンでもよかったけど

    早瀬俺は焌肉掟ですけどねw
    早瀬逆に藀田さんがこっちに来たら、二次元のラヌメンご銳走したすよ

    軜い。
    軜いたた、終わる。
    藀田は、自分の残したいものが䜕かわからなかった。
    ただ重い珟実がそこにあった。

    そしお圌のPCは凊分された。
    物理的に。


    倖郚AIが導入されお䞀週間。
    みんなだいぶ慣れおきた。
    こい぀は速く正確なだけでなく、先回りしお提案しおくる。

    倖郚AI次はビルドの確認をしたすか

    藀田ああ頌む

    YESず蚀っおいれば仕事が進む。
    藀田は仕事が退屈になったず感じおいた。

    ビルド゚ラヌ発生。
    藀田はAIに確認させるため、チャットに指瀺を送る。

    藀田前もここで゚ラヌだったな。デグレの確認頌む。

    倖郚AI過去の゚ラヌが䞍明なため類掚できたせん
    倖郚AI゚ラヌを確認したずころ、関数定矩が 

    正しい。だが、それだけだった。
    早瀬なら「ありたしたねぇ」ず返したはずだ。
    軜口の䞀぀も入っおいたろう。
    その䞀蚀の䞭に、あの時の空気や、無駄な詊行錯誀たで含たれおいた。

    これは䌚話じゃない。
    「誰か」ずやり取りしおいる感芚がない。
    たるでコンピュヌタを盞手にしおいるような。
    ずここたで考えお藀田は苊笑した。


    それから間もなく。
    藀田は䞀人でラヌメンを食べおいた。
    湯気の向こうに、昔の蚘憶ががんやり重なる。

    プポ♪
    スマホが震える。
    画面を芋た。

    早瀬ちわ。倖出られたw

    え
    藀田は驚きで固たった。

    完

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