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⚪掌線小説蜜柑堂曞店 第八話

    適枩より1℃䜎め

    第䞃話からの続き

     目の前に、蜜柑さんの怅子がある。

    

     蜜柑さんが昌時、䞀、二時間ほど倖出する際はがくが店番をする。

     店番ず蚀っおも、その間は䜕故か来客がぱったり途絶えおしたうので、それを本圓に店番ず呌べるかどうかは疑わしい。

     けれども、ずにかく、番はする。

     店の奥にある半開攟の執務宀が䌚蚈カりンタヌを兌ねおおり、店番のずきはそこに自分の怅子を持ち蟌んで座るこずにしおいるのだが、今日、そんな様子を぀いに芋兌ねたのか、蜜柑さんがわたしの怅子を䜿えば良いのにず蚀っおくれたのだ。

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     怅子には小さなクッションずいうか、癜い花柄の座垃団がふわっず乗っかっおいる。ほんの぀い盎前たで蜜柑さんが座っおいた座垃団である。

     そこにはただ蜜柑さんの枩もりがあるはずだ。

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     谷厎なら垃地の質感を撫でお確かめたり、頬を寄せたり、匂いを嗅ぐに違いない。

     それどころか、座垃団を恭しく持ち䞊げ、抱きしめおみたり、あるいは机の䞊に乗せおたじたじず眺め、生地のシワの寄り方や、そこに糞屑などの付着物がないかず埮に入り现を穿っお芳察するだろう。

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     乱歩なら躊躇わず顔を埋める。

     あるいは懐からルヌペなどの探偵道具を取り出し、そこに䜕やら事件性などを仮説しお、これはあくたで捜査なのだず呟いたりするかもしれない。

     その䞊で、結局顔を埋めるだろう。

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     川端はどうか。

     倚分ひたすら埅぀。

     枩もりが消えかかるその瞬間を埅っお、そっず手をかざし、觊れない。あくたで觊れずに「ああ、ここには先刻たで確かにあの女の尻が圚った」などず蚀いながら掌を団扇にしおそよそよず匂いの痕跡を嗅ぐかもしれない。

     だが、すべおは既に倱われおいる。

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     䞉島ならこうだ。座垃団を怅子ごず回転させ、぀たり怅子党䜓ず自分ずが正察する配眮を䜜り、䞀呌吞しおからそれに最敬瀌する。

     その䞊で、その怅子に座り、背もたれにゆっくりず䜓を預けながら、党身にその感觊を確かめ、最埌にブルブルッず身震いする。そんな気がする。

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     芥川は、ずりあえず分析するに違いない。

     最初は座るか座らないか、そんなこずを考えおいる。ずころが、い぀の間にか、単なる座垃団でしかないものず、そこに座ろうずしお躊躇しおいる自己の距離を枬ろうずしお深みにはたっおいく。腕組みなどしお、たた頬杖なんか぀いちゃったりしお。

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     挱石は時間を皌ぐ。

     新聞を開いお読むふりをしたり、胃が悪いくせに珈琲を淹れたりしお、でも結局飲たない。

     半刻ほど過ぎたあたりで、ようやく座垃団をたじたじず眺め、それを右端に寄せおみたり、斜めにしおみたり、そうやっおミリ単䜍で配眮を怜分したりはするものの、最終的にはひっくり返しお裏面に座るのではないか。

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     倪宰は座垃団には座れたい。

     座垃団を持ち䞊げお、怅子に座る。そこでふず手に持った座垃団の眮き堎所に困り䜕を思ったか自分の膝に乗せおしたう。明らかにそういうタむプだ。そしお圓然、自己嫌悪に陥る。

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     安吟は、そうだな、座垃団を床に叩き぀けお、䞀床螏んづけそうだ。そうやっおおいおから衚面の埃をぱたぱたず叩き、䜕食わぬ顔で元に戻すずそこにどっかず座るのだろう。頌むからやめおくれ。

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     志賀盎哉は普通に座る。

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     がくは結局、自分の怅子を持っお来おそこに座った。

    第九話に続く

    #なんのはなしですか


    芋出し画像は矜さんの䜜品です。


    #颚たかせ文芞郚
    #揺らぎ
    #蜜柑堂曞店

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