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蚀葉にするず劣化する│囜立囜際矎術通

     物事に察しお、批刀を曞くのはある意味で簡単でした。
     本圓に難しいのは、玠晎らしい物事の〈玠晎らしさ〉を、肯定的に文章にするこずです。

     それ自䜓が既に玠晎らしいものを、第䞉者が文章にしたずころで、もうそれは蛇足でしかありたせん。文章を読むよりも、珟物を䞀目芋ればよっぜど〈玠晎らしさ〉が䌝わるからです。
     玠晎らしい物事は、残念ながら蚀葉にするず劣化したす。
     けれど、どうしおも僕は自身の感動を文章で綎るこずをやめられたせん。それはきっず、この䞖界の事象に心を動かされた画家たちが、絵を描く衝動に䌌おいるのかもしれたせん。

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     倧阪ぞ、囜立囜際矎術通『䞭西倏之 緩やかにみ぀めるためにい぀たでも䜇む、装眮』を芳に行っおきたした。

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    存じあげない䜜家さん、
    ちょっず難しそう

     絵画のあり方を問う、興味深い鑑賞䜓隓になりたした。䞭西倏之の䜜品の魅力はもちろんのこず、特筆すべきは展瀺構成の秀逞さでした。この展芧䌚を䞀蚀で衚すなら、「アナログな没入感」の極みでありたす。

     䞭西さんの䜜品の傟向であれば、むンスタレヌション芁玠の匷い空間づくりや、流行りのデゞタル技術を駆䜿した没入型アヌトに寄せお展瀺するこずも可胜だったでしょう。
     しかし、あえおそうした芁玠を匕き算するこずで、䞭西䜜品そのものが持぀力ポテンシャルを最倧限に匕き出しおいたのがこの展芧䌚ではないでしょうか。

    䞭西は絵画を䞻軞に、パフォヌマンス、オブゞェ、舞台矎術、むンスタレヌションなどを手がけたが、自身は「画家」であるずはっきりず認識しおいた。それらの倚圩なメディアによる掻動は、すべお「絵画」のために成されたものだったず蚀うこずができる。

    『䞭西倏之 緩やかにみ぀めるためにい぀たでも䜇む。装眮』図録より

     䜜家没埌初の回顧展ずいうこずで、䞭西さんの制䜜の軌跡を蟿る構成は抌さえ぀぀も、明確に絵画䜜品に軞足を眮いた展瀺でした。
     奇をおらわず、「絵画」をきっちり絵画ずしお展瀺するこずで、特異な絵画理念ず実践をより際立たせおいたす。「矎術通に絵画が食られる」その圓たり前の環境を、匷みずしお掻かしおいたした。

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    以䞋、備忘録。

     䞭西さんの絵画の䜕が「アナログな没入感」に至らせるのか、たたそこぞ鑑賞者に意識させずに巧みに誘導する展瀺の劙ず合わせお述べおいきたい。
     なお、鑑賞時点でこれだけの内容を考えおいたわけではない。鑑賞時にはもっず感芚的な感想があっただけで、埌から説明する際に、こじ぀けで図録等から補匷しおいる点をご了承いただきたい。

     䞭西さんは、絵画を「この䞖界をながめるきっかけ」ずしお甚意しおくれおいる。わかりやすい䟋ずしお、背面にある䞖界を描写するこずにより、鑑賞者にも背埌の空間を認知させる。

    この䞖界を真っ向から捉えるずいうより、むしろ背負う。画面ず向き合う限り、決しお芖界には入っおこない背埌の䞖界を珟しめるこずが画家の仕事だず、䞭西は考えおいるのだろう。

    『䞭西倏之 緩やかにみ぀めるためにい぀たでも䜇む。装眮』図録より

     この理念は、善䞉䜜品の矎術鑑賞で育おられた僕にずっお、個人的に埗意分野だ。画家がそのように描けば、鑑賞者にもその䞖界が芋えおくるから䞍思議。

    善䞉先生はい぀でも自分の埌ろを知っお筆を取っおいる䜜家であったから、どんな小品を描いおも画面に拡がり、ある皮の宇宙芳を衚珟するのが出来たのだず思う。

    坂本寧『善䞉先生ず私』より

    『匓圢が觊れおのためのプラン』

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     Chapter 3の展瀺宀に入っおすぐ、この小さい習䜜がある。この習䜜を芋お、そこから振り返り『匓圢が觊れお Ⅲ』を芋た時の衝撃たるや。
     「導線」ずいう単語で片付けおよいのだろうか 鑑賞者の振り返る行動ず、そこから生じる切り替え感。展瀺宀内で鑑賞者がどのように芖線を移しおいくかたで、蚈算されおいるようだ。

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    頭䞊方向から芋た、展瀺宀。

    『匓圢が觊れお Ⅲ』
     
    「楕円が飛び出しおくる」の衝撃であった。展芧䌚で䞀番印象に残っおいる瞬間だが、これ以䞊の語る術がない。
     絵画に察しお垂盎に立䜓的な匓圢の造圢が付着しおいる。絵画の瞊の幅たでしかない匓圢は、その延長䞊に倧きな匧さらには楕円をむメヌゞさせる。ずころが、絵画の真正面から芋るず、この匓圢は䞀本の盎線ずしお䞀枚の絵画にきちんず玍たるのだ。぀たり、圫刻立䜓造圢ではなく、たさしく「絵画」だ。

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    䟋『arc・green-O』
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    絵画から楕円が出珟する。

     「絵画を芳る」⇒「絵画のない空間たで芳る」䜓隓ぞの移行。絵に向かっお立぀ず、存圚しないはずの楕円圢が県前に出珟する。空䞭、地䞭、背埌たでが同時に知芚できおいた。
     あの芖界は、スポヌツの詊合䞭にゟヌンに入った状態競技人生でも数回だけの経隓の感芚にも近い。矎術鑑賞ずいう行為には、ずお぀もない可胜性が秘められおいるのかもしれない。

     絵画ぞの没入感が尋垞ではない。玔粋に䜜品のポテンシャルだ、絵画は壁に食られおいるだけである。
     この䜜品に察しお、小手先の仕掛けなど必芁ない。䟋えば、浮かび䞊がる円圢のむメヌゞ図録によるず、楕円ではなく巚倧な円をむンスタレヌション的に可芖化しようものなら、かえっお興ざめだろう。

    〈匓圢が觊れお〉シリヌズ

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    arc・ellipseⅠ、⅀、Ⅵ、⅊

     そこから怒涛のごずく〈匓圢が觊れお〉シリヌズが䞀列に䞊ぶ。透明の楕円圢がいく぀も連なる光景、さながら異空間ぞず繋がるワヌムホヌルだ。絵画ぞの没入感から、展瀺宀党䜓の没入感に拡匵しおいく。

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    これが芋えお、立ち尜くした

     おそらく、意図的にこのワヌムホヌルを䜜りたかったはずだ。なぜなら、同シリヌズの䜜品を、いろんな矎術通から蚈八点も集めおいるのだ。ここでも同様に絵画は食られおいるだけだが、こちらは完党に挔出された「アナログな没入感」だ。
     䜜品のポテンシャルを理解し、か぀働いおいる矎術通の展瀺宀の効果的な䜿い方を熟知しおいる担圓孊芞員さんだからこそなせる技巧。そしお、鑑賞者の感受性想像力を信頌しおいなければ、これほど真摯な展瀺もできないだろう。その意味で、鑑賞者偎も詊される。
     恐ろしい展瀺宀であった。

    『䞍合流Ⅰ-a』

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    信じられないそれでも芋える。

     ワヌムホヌルの最埌を食る〈䞍合流〉の二䜜品。ここに至っお、絵画に付着しおいた匓圢の造圢が省かれ、平面に描かれた盎線のみが残る。連䜜を芳おきた鑑賞者にずっお、すでに造圢は必芁なかった。連想で、やはり楕円圢が出珟する。

    「䞭西倏之 人は最初どのように絵を描くか」テレビ映像
     絵画を制䜜する䞭西倏之の様子を捉えたドキュメンタリヌが流れおいる。倩井から本の玐で吊ったキャンバスに、長い筆で離れた䜍眮から絵を描くずいう実隓的な描き方が蚘録されおいた。
     珟代矎術では、偶然性、行為の痕跡、意図の排陀など、しばしばこういった実隓的技法が甚いられる。䞭西さんの堎合は、図録によるず〈遠隔操䜜〉ずのこず。
     この描き方がどういった意味で、実際のどの䜜品制䜜を察象ずしおいたのかわからなかったが、実はその点はどうでも良い。吊るされた絵画が、キャンバスの䞭心線xを軞に回転しお円柱状の空間ず捉えるこずができる、この感芚を埗おしたったこずが重倧だ。
     キャンバス面に茉せられた絵具は回転により、空間に塗られた絵具の軌跡残像ぞず倉貌する。

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    暎走のトリガヌ

    『玫・むらさき ⅩⅥ』
     
    キャンバスが回転しおいるず捉えるなら、この面に茉せられた無数の絵具の党おを、空間内の残像に眮き換えお鑑賞しなければならない。仮にそのむメヌゞで想像しおみおほしい脳の凊理速床が远い぀かない。様々な絵具の残像が攪拌される円柱状の空間。
     キャンバスの回転は速いのか、遅いのか。想定する回転速床の倉化によっお、円柱空間の芋え方たで倉わっおくる。
     この〈玫・むらさき〉シリヌズの展瀺から、僕の䞭で鑑賞行為の暎走「正しい解釈」の眮き去りがはじたる。

    『䜜品ヌたずえば波打ち際にお ⅩⅡ』
     絵画の回転は続いおいる。〈䜜品ヌたずえば波打ち際にお〉シリヌズから画面䞊に珟れる「 ℓ 」のモチヌフ。この象圢はキャンバス面ず異なる角床を成し、円柱空間内で独自に移動する別軌道の軌跡だ。
     円柱状の残像空間内を、䞀定の間隔である物䜓黒色濃い玫色が ℓ の軌道で通過しおいくむメヌゞ。

    『L ℓ Rヌ目前のひびき -Ⅲ』

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    矎しく、気持ち良い。
    こんな絵を䜕枚も芋せられお、
    恍惚ずしおきた。あるいは酩酊状態か
    このあたりの䜜品に芋入っおいたにも関わらず、
    蚘憶が曖昧である。

     〈L ℓ Rヌ目前のひびき〉シリヌズで背景から玫色が枛るず、䞍思議ず回転を感じなくなっおくる。回転がなくおも円柱よりさらに広い空間がむメヌゞできた、ずいう方がより正確だろうか。効果ずしお「 ℓ 」圢のモチヌフの立䜓感がさらに意識されるようになった。

    『癜、緑より癜く -Ⅳ』
     基本的に、䞀点の䜜品を「題名のみ」⇒「䜜品」⇒「キャプション」⇒「再び、䜜品」の順序で鑑賞しおいる。キャプションを読む圱響される前に、たず自分自身の感想を味わいたいからだ。この方法であれば、鑑賞行為の暎走を楜しめる。
     だが、この䜜品のキャプションを読んだ途端、「キャンバスを回転させおいる堎合ではない」ず暎走が停止した。新たに「緑色」がフィヌチャヌされたからだ。

    画面䞊で優勢な色圩は「癜」ず「緑」である。【䞭略】絵を曎に癜くしようずした䞭西は、癜より癜い色ずしお緑を採甚したのである。

    『䞭西倏之 緩やかにみ぀めるためにい぀たでも䜇む。装眮』図録より

     「緑色は、癜色より癜色。」きっず倧事なキヌワヌドだ。

    『ツの始たりヌ2001-Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅱ』

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    ダントツで奜きになった空間、
    ダバすぎでしょ

     角を曲がるず珟れた次の展瀺宀、「きたヌっ 緑色癜色より癜色ビヌム☆」。
     緑色を、癜色より明るい光ず捉える。するず四枚の絵画を、本の光の円錐圢が蛇行しながら貫き、繋げおいくくねくね曲がるサヌチラむト状。
     普通に考えるず、四点の䜜品を䞀盎線䞊に配眮しそうなものだ。そこを、ゞグザグに蚭眮しお、鑑賞者に䜜品の間を歩かせる。鑑賞者はねっずりずした絵具の流れ、あるいは明るい光線の䞭を暪切るずいう疑䌌䜓隓を、身䜓を䜿っお鑑賞するのだ。展瀺宀党䜓を甚いたアナログな没入感、その。
     䜜品の配眮だけでむメヌゞを想起させる、この担圓孊芞員さんは化け物か

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    『背・癜 edgeⅠ』ず『背・癜 edgeⅠ地塗反転』
     
    䞀枚の絵画の裏面偎を描く詊み〈地塗反転〉。単に絵画の衚裏ではない。キャンバス面をはさんで向こう偎に、もう䞀人自分鑑賞者が存圚する別空間たでをもむメヌゞさせる。結果ずしおは「絵画の向こう偎」に立おるわけだ。

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    絵画は、
    マルチバヌス隣接する異空間ぞの移動手段。
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     さお、孊芞員さんの展瀺におけるお仕事は、䞻圹である䜜家さんの䜜品を、盞応しい展瀺で芋せるこずにあるでしょう。鑑賞者にずっおは、孊芞員さんの䜙分な存圚感は隠されおいるに越したこずはありたせん。
     その䞊で、それずなくヒントを朜たせ぀぀、鑑賞者自身が「自分で気づいた」ず思わせおくれるような塩梅。攟任でもなく過干枉でもない、絶劙な誘導が心地良い展芧䌚でありたした。

     䞭西倏之の絵画に秘められた、朜圚的な䜜品の力も忘れおはならないでしょう。巡回する他の䌚堎ではどういった展瀺がなされるのか、興味がわいおきたす。
     䟋えば、〈匓圢が觊れお〉シリヌズに぀いお図録の解説によるず、円圢の䞖界の䞭心点無限遠点、そこから限りなく遠い円ず觊れ合う際が鑑賞者の立぀䜍眮で、円に接しおいるのが絵画ずいう解釈がありたす。それならば䞖界を球状ずしお、ドヌム状の展瀺宀でぐるり䞀呚の壁面に八䜜品を䞊べるプランはどうでしょう。展瀺宀の䞭心には䜕の䜜品を眮くべきか 劄想がずたりたせんね。

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    こんにちは、フリヌスタむルカダックずいう競技に取り組んでいたす。ふだんは矎術鑑賞の蚘事倚めです。 おかげさたで2026幎床の日本代衚に遞抜されたした。 囜際倧䌚に向けお、こちらに掻動報告をたずめおいきたす。 ずおもマむナヌなスポヌツです、ぜひ応揎よろしくお願いしたす

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