『Straight, No Chaser』 ー混ぜ物なしでいこうぜ ー
変人と呼ばれたピアニスト
2月17日は、ジャズピアニストの「Thelonious Monk(セロニアス・モンクの」の命日です。1917年に生まれ、1982年に64歳で亡くなりました。
モンクは独特なスタイルを持つジャズピアニストです。演奏は、角ばり、和音はひねくれ、リズムは少し引っかかります。それが大きな特徴です。
それだけではなく、舞台で突然立ち上がり、くるくると踊り出すこともあったと言われています。変人と言われてもおかしくなりません。ただ、この記事の見出し画像の若きモンクには、変人らしさは微塵も感じられません。
記録映像に残されたモンク
モンクの生涯を描いた1988年公開のドキュメンタリー映画が、YouTubeにありました。YouTubeってすごいですね。1時間24分の映画がすべて観れます。ちなみに字幕はイタリア語です。
この作品は、死後に見つかったアーカイブ映像や、友人や家族への没後のインタビューを軸に構成されています。モンクのスタイルがよくわかる作品です。冒頭には、踊るモンクが登場します。
一音でわかる個性、それがモンクだ
映像を見ていただければわかるのですが、鍵盤を攻撃するような演奏は、ときに耳障りにも聴こえます。滑らかさや流麗さとは無縁で、わざと引っかかる音を選んでいるかのように感じます。
そうしたこともあり、モンクは偏屈で気難しい人物という印象を持たれがちです。僕も長いこと、そう思っていました。確かにそういった一面もあったのかもしれません。しかし、その独特の音楽的センスには圧倒されます。
一音鳴った瞬間に「これはモンクだ」とわかる。それほど強烈な個性を持ち、数々の名曲を生み出してきました。『Round Midnight』『Blue Monk』『Well, You Needn't』『Ruby, My Dear』といった作品が、思い浮かびます。
「ごまかすな。しかし、自分らしさは隠すな」
なかでも、僕が好きなのは、『Straight, No Chaser』です。
このタイトルは、バーでの注文の仕方から来ています。「Straight」は「ストレートで」、「No chaser」は「チェイサーなし」。つまり「ウイスキーを水で割らず、そのままで飲む」。言い換えれば、「混ぜ物なし」ということです。
しかし面白いのは、曲自体は決してストレートではないという点です。シンプルなブルース形式でありながら、どこか引っかかる。真っ直ぐのはずなのに、少しだけ曲がっている。それがモンクの魅力です。
聴いていると、モンクがこちらを睨みながら、こう語りかけてくるように思えます。・・・「おい、ごまかすな。しかし、自分らしさは隠すな。」
混ぜ物なしでいくという選択
仕事の話に持っていくのは野暮かもしれませんが、答えが見えなくなると、人は何かを混ぜたくなります。たとえば、成功事例の模倣や過去のアレンジ、いま話題の言葉などです。
しかし、混ぜれば混ぜるほど、自分の味は薄まっていきます。
本当に強いのは、「混ぜ物なしでいこう」と腹をくくる人たちです。
『Straight, No Chaser』。
難しいことは抜きにして、ぜひ聴いてみてください。
2年前にも、モンクの記事を書いていました
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