
あなたにとっての「一生ものの童話」は?ーわからないのに何度も読みたくなる物語があるー
幼いころ、母が寝る前に何度も読んでくれたのが、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』でした。
小さな私は、ただただ悲しくて、意味もわからないのに、どうしても耳を傾けたくなる。そんな不思議な物語。
黄金と宝石をまとった王子像は、渡りの途中で出会ったツバメに頼んで、自らの装飾を一つひとつ剥がし、困窮する人々へ届けさせます。
「こんなに幸福な人はいない」と言われながら、やがて彼の姿はぼろぼろになり、ツバメも命を終えてしまいます。
子どもの私は、その結末がただ寂しくて、胸が詰まるようでした。
「なぜこんなことをするのか」「なぜこんなに悲しいのか」――わからないまま、何度も繰り返し聞きたくなる物語。
けれど今なら、ほんの少し、その「わからなさ」の中に大切な何かがある気がします。
人の痛みに共鳴できるということ。
それは「不幸」ではなく、むしろ人として豊かなことなのかもしれません。
あなたにとっての「一生ものの物語」は、どんなお話ですか?