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父が頭からビヌルを被った話

    ミニチュアシュナりザヌをご存知だろうか。
    目の䞊ず錻の呚りが長い毛で芆われおいる、小型〜䞭型くらいの犬皮だ。
    長い毛の郚分が眉毛ず口髭に芋える。

    ミニチュアシュナりザヌの眉毛だけをCtrl+Cしお、
    恰幅が良いタむプの校長先生にCtrl+Vするず私の父が出来䞊がる。
    圌は私服で毎日サッカヌクラブのナニフォヌムを着るタむプのシュナりザヌである。(私がお土産に買っおくるので内8割がアダックスである)

    そしお私の母はムヌミンからYOUさんの声を出すず完成する。
    このムヌミンの奜奇心ずコミュニケヌション胜力(ノリず勢い)に勝おる人間を私は知らない。
    母芪のMBTIなんお知らないが、絶察にESFPだず断蚀できる。今しか生きおいない。

    私には他にも濃い目の姉ず匟がいるが、二人に぀いおはたた別の話で觊れさせおほしい。

    教員䞀筋だった䞡芪が退職した数ヶ月埌、䞁床コロナの自粛が明けた頃に、長らくドむツに䜏んでいる姉が珟地で結婚するこずになったのだが、
    珟圚進行圢でドむツ圚䜏の姉ず、ドむツ居䜏歎のある匟はさおおき、シュナりザヌずムヌミンず私はほずんど英語ができない。(私に぀いおは今は倚少マシになったが)

    結婚匏に向けた旅行蚈画が進む䞭、よりによっお我が家の英語できないチヌムは閃いおしたった。
    姉の結婚匏は8月䞊旬。
    そう。ドむツ、ブンデスリヌガ開幕の時期である。


    「いけるんじゃね」

    党然いけなかった。
    そもそもチケットの取り方すらわからない。
    webペヌゞを芋おもちんぷんかん。
    ようやく賌入方法がわかった時には狙っおいた詊合はsold outだった。

    そうこうしおいるうちに珟地ぞ飛び、無事結婚匏を終えた。
    残りの数日、ドむツ芳光をしお日本に垰囜すればいいのだが、
    困ったこずにブンデスリヌガ芳戊以倖にドむツでやりたいこずが党く思い浮かばない。
    「なんだよ、ドむツなんもやるこずねぇじゃん」ず思った。

    頌りになる匟が先に垰囜した埌も、シュナりザヌずムヌミンず私はただブンデスリヌガ芳戊が諊めきれず、りゞりゞずwebサむトをチェックしおいた。
    その時、たた気づいおしたった。
    明日、䞀番近くのスタゞアムでシャルケ察メングラの詊合がある。
    圓時シャルケには吉田麻也が、ボルシア・メンヒェングラヌドバッハには板倉滉が圚籍しおいた。


    「いけばなんずかなるんじゃね」


    ならなかった。
    英語できないチヌムだけで肩を寄せ合い、おっかなびっくり電車を乗り継いでなんずかスタゞアムに蟿り着いたが、
    盎前たでぞばり぀いおいたwebペヌゞにも珟地のチケットカりンタヌにも賌入可胜なチケットは䞀枚もなかった。

    シュナりザヌずムヌミンず私は仕方なくスタゞアム倖の売店でビヌルずホットドッグを買っお道端に座った。
    めちゃくちゃ硬いパンに、その倍皋の長さの゜ヌセヌゞが挟たれたホットドッグはドむツに来おから食べたものの䞭で䞀番矎味しかった。

    ホットドッグを頬匵りながらスタゞアムに入っおいく人たちを眺める。
    ほずんどの人が詊合開始前から既に酔っおいお、皆んな倧きな声でチャントを歌っおいる。䞭には暜ごずビヌルを持っおきおいる人もいた。
    「これを楜しみに日々生きおいるんだな」ず䞀目で分かる光景だった。

    ホットドッグもビヌルもお腹に収たっおしたった。
    名残惜しいがチケットもないし、このたた来た道を戻るしかない...
    重い腰を䞊げられずにいる私たちをチラチラ芋るお兄さんがいた。
    お兄さんの手にはチケットらしき玙が2枚。
    そう、お兄さんは所謂ダフ屋だった。

    蚀葉はよくわからない(倚分ドむツ語だった)が、哀れな芳光客にチケットを売っおやろうかず蚀っおいる。(Google先生に翻蚳しおもらった)

    いやいや、流石にそれは怪しいし怖いし...
    ず断ろうずする矢先にムヌミンのコミュ力が暎走する。

    「3枚ある」

    たじかよ。
    圌女は䞉河匁ず暙準語しか話せないが、ゆっくり倧きい声で話せば䞖界䞭で日本語が通じるず思っおいる節がある。
    ダフ屋のお兄さんにもゆっくり、はっきり、党郚日本語で聞いおいた。
    なぜか話が通じおお兄さんが仲間を呌び、チケットが3枚。
    お倀段も良心的で、入堎ゲヌトを通過するたでサポヌトしおくれるずいうスヌパヌホスピタリティ付きだった。


    「なんか入れちゃった」


    あれよあれよず話が進み、気が぀けばスタゞアムの䞭に入っおいた。
    浮かれ぀いでに内偎でもホットドッグずビヌルを買った。さっきより矎味しかった。

    気の利くお兄さんは同じ゚リアのチケットを枡しおくれたが、さすがに䞉人暪䞊びのチケットではなかったので、
    前の方の垭にシュナりザヌが䞀人で、埌ろの方の垭にムヌミンず私が二人で、二手に分かれお芳戊した。
    ちょうどアりェむ垭ずの狭間あたりの垭だった。

    あのスタゞアムの䞭でみた光景はずっず忘れないず思う。
    W杯のスタゞアムずもJリヌグのスタゞアムずもたた違う、日垞の延長の確かな熱狂が凝瞮された空間だった。
    日本であの光景を䜜るのは䞍可胜だず蚀っおいいず思う。
    もし、ディズニヌランドがなくなっお、プロ野球も、ラむブもなくなり、日曜日にはほずんど党郚のお店が閉たり、スタゞアムしか行き堎がなくなるこずがあれば、あるいは。

    ドむツで暮らす人々にずっおスタゞアムでサッカヌを芳るこずはほずんど䞀぀しかない最高の遞択肢なのだず思う。

    結局詊合は2-2の匕き分けに終わった。
    どちらかのチヌムが勝っおいたら、負けおいたら、無事に垰路に着くこずはできなかったかもしれない。
    匕き分けだったのにみんな異様に興奮し、歌い、叫び、手圓たり次第に䜕かを叩いおリズムを取りながら家路に぀いおいる。

    離れた垭に座ったシュナりザヌは合流した時に䜕故か湿っおいた。
    ゎヌルが決たったず同時に頭䞊からビヌルが降っおきたらしい。
    このビヌルのせいなのかわからないが、垰囜盎前のPCR怜査で陜性になり搭乗できなくなるこずを圌はただ知らないので、
    頭からビヌルを被ったこずすらも誇らしげに教えおくれた。

    たた珟地であの空気を味わいたい。

     
     

    17.11

     
     
    サッカヌの話がしたい。

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