
お助けマン
小三の時、クラスで「係活動」を決めた。
「保健係」は、体調不良者が出たら保健室に連れていき、「体育係」は、体育の授業の時に用具を倉庫から出す。「クイズ係」は、毎週壁にクイズを貼り出す。
それぞれにそれなりの仕事があるのだが、私は「お助けマン」という謎の係を、一人で作った。
「お助けマン」の業務内容は、クラスのすべての係活動を手伝うというものだ。
「保健係」が大変そうなら、一緒に保健室に行く。「体育係」とともに用具を運ぶ。「クイズ係」には、「こんなクイズなんてどう?」と提案する。
担任の先生にも「素晴らしい発想!活動内容もいい!」と褒められた。
しかし、実際には特に何もしなかった。
小三の係活動など、特に忙しくもないからだ。
そんなことは、当時の私にもはっきりわかっていた。わかったうえで、献身的な態度を装うことのできる係活動を、自ら作り上げたのである。
何もしないということがあまりにも多いと、クラスのメンバーから顰蹙を買う。だから週に一度ほどは、体育係の用具出しを手伝った。
体育係は、クラスの中心人物が担当していた。発言権も強かった。
どちらかというとクラスの端っこにいて、すべてを俯瞰しているタイプの人間だった私は、「誰に媚びれば居場所を失わないか」を完全に把握していた。
当時は「世渡り上手」だったのかもしれない。
残念ながら、大人になってからその才能が発揮されることはほとんどなかった。
むしろ、頼まれてもいないことを引き受け、勝手に疲れ、勝手に悲しい顔をすることの方が多かった。
しかし三十三歳になったころから、ようやく少しずつわかってきた。
人を助ける前に、まず自分を助けなければならない。
小三の私が作った「お助けマン」は、実際にはほとんど何もしなかった。
だが、三十四歳の私は思う。
あれくらいの活動量で、ちょうどよかったのだ。