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Photo bytask_akimoto

順番、土地の言葉

    百裕(ひゃく・ひろし)

     娘がマクドナルドへ行きたがるので、昼は家族三人でイオンモールのマクドナルドへ行った。
     娘はいつもチーズバーガーセットしか頼まないが、今回はどういうわけかセットメニューにチーズバーガーが見当たらず、ダブルチーズバーガーセットしかなかったので、諦めてそちらにした。もっとも、ダブルでは駄目だと怒る理由もなかったろう。
     妻は現在売り出し中のたまごベーコン肉厚ビーフセットを選び、自分は昨今の高額なハンバーガーメニューにどうも違和感があり、安価なスパチキセットを選んでおいた。

     マクドナルドのセットを自分はいつもハンバーガーから先に食べる。一度ポテトを先にしたら、最後に何だか片付かないような、物足りないような心持ちがして困った。それでもう一度ポテトだけを追加でオーダーした。あの時以来、きっとハンバーガーから食べることに決めているのである。
     ところが今日気付くと、妻も娘もポテトから食べている。どうするつもりかと思ったら、ポテトを一度に全部食べるのでなく、途中でハンバーガーを食べたりポテトを食べたりして、最後はポテトで締めるという手順なのである。なるほど、これなら片付かないことはないだろう。
     改めて考えると、自分みたいにハンバーガーとポテトを前半後半できっちり分けるより、妻子の食べ方のが自然なように思われる。全体どうして自分はこういうことになったろうかと考えたが、甚だどうでもいいのでじきによした。

     同じカウンター席に小さな子連れの家族客がいた。時折、下の男の子が口に手も当てないままゴホゴホ咳き込む。食事中にこういうのは甚だ不愉快だが、やめろと云ってどうなるものでもない。見ないことにして黙っておいた。
     家族客が帰ると、空いた席へ今度は二人連れの女子大生がやって来た。
     二人とも同じベージュのコートを着ている。一人は黒髪でもう一人は赤茶色の髪である。赤茶は狸のような顔をしている。黒髪女子は、こちらから顔が見えない。
     座る前に「めっちゃ汚い!」と大きな声をした。家族連れが食べこぼしをそのままにして去ったのである。
     どちらが云ったかわからないが、どうも赤茶の方が云ったらしかった。名古屋なのに、「どぉら」でなく「めっちゃ」なのかと思った。


    【電子書籍発売のお知らせ】

     百裕作品の粋を集めた決定版がついに世に出ました。「#なんのはなしですか」界隈で好評を博した作品群に大幅な加筆修正を加え、1冊に集約。

     代表作『牛おばさん』とその後日譚(書き下ろし)、違和感と余韻を残す随筆集『いつか見た情景一・二』、不思議な話・気持ちの悪い話を集めた『ここではないどこか』の4部構成。


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    随筆家。日常をそれっぽく書いたり、気持ち悪い話を書いたりする。 著書∶『牛おばさん・他49篇』 パスタ屋店長、人材派遣屋、メーカーのEC担当など種々の職業に就く傍ら、2003年よりウェブ上で執筆活動中。

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