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血の繋がった、小さな親友。

    彼女が福岡にやってきたのは3歳のときだ。
    私にそっくりだった。
    顔も行動も仕草も。
    東京と福岡で離れて過ごしていたのに不思議なくらいに似ていた。

    顔が同じだからだろうか
    懐くまでに時間はかからなかった。
    よく2人で出かけた。

    アンパンマンミュージアムでは
    ショーを見に行くと
    ずっとキャラクターたちを睨みつけていた。
    プラレール展では
    真ん中の空いた動線を一瞬で走って行き
    何も見ずに帰った。

    連れて行ったメインどころより
    帰り道の駅のホームが一番はしゃいでいる。
    足元にある「ここに並んでください」の足マーク。
    見つけては踏んで。
    見つけては踏んで。
    「ぴったりー!」と満面の笑みでこちらを向く。

    「帰らない!」と泣かれたとき
    私は本気で置いて帰ろうとする。
    「そういうことじゃないじゃん!」と
    怒られたこともある。

    ある帰りの地下鉄では、盛大にゲロをかけられた。
    チーズみたいな腐敗臭が漂った。
    ああ、昼にソフトクリーム食べたせいだ。
    途中下車して服を洗って
    前後ろ逆に着て、抱っこして
    自分と彼女に「大丈夫」を言い聞かせながら
    また電車に乗った。

    いつも予想外のことが起こる。
    2人のおでかけは冒険だった。

    そんな彼女も今は小学5年生。
    自分の気持ちを言葉にするのがむずかしい年頃のようだ。
    「どうしたい?」の問いに
    相当な時間を要する。

    気持ちを表現する言葉をまだ知らないのか。
    今感じているものを理解できていないのか。
    ただ言えないだけなのか。
    周りの大人たちの「早くしなさい」にかき消されることも多い。

    かつて小5だった頃の自分はどうだったのだろうか。
    大人と言われる年齢になった今も
    常識とか世間体とかが邪魔をする。

    2人だけの時間が彼女にとって
    雑音のない世界であってほしい。

    どんなに時間がかかっても
    どうせいつかこの時間を愛おしく思うのだから
    待つよ。
    日が暮れるまで話をしよう。

    今年のGWは家族旅行で出雲へ出かけた。
    張り切って食べすぎた彼女は
    私に向かってゲロを吐いてきた。
    今回はカレーだ。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    みなとまちの端っこ。 リトルトゥースで、3601です。

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