
今日も、いい天気。|第8話 ただいま
最終章 ただいま
家までの帰り道。
車の中は静かだった。
窓の外を流れる夕焼けを見ながら、
美咲は今日のことを思い返していた。
長いようであっという間の一日だった。
誰も急かさなかった。
誰も過去を責めなかった。
ただ、一緒に笑って、少し話をした。
それだけだったけど、それで十分だった。
車が家の前で止まり、パパがエンジンを切る。
「着いたぞ」
いつもの声だった。
美咲は小さく頷く。
玄関のドアを開ける。
見慣れた靴箱。
見慣れた廊下。
見慣れた匂い。
全部、いつもの家だった。
美咲は自然に声が出た。
「ただいま」
ママが笑う。
「おかえり」
パパも靴を脱ぎながら言う。
「疲れただろ」
「うん」
美咲は笑う。
「でも、行ってよかった」
パパは小さく頷く。
「そうか、よかったな」
その一言だけだった。
夜。
部屋の明かりを消す。
ベッドに横になる。
イヤホンから静かに音楽が流れている。
目を閉じる。
今日まで、家族は二人だと思っていた。
それは間違いじゃなかった。
今日、二人増えた。
それも間違いじゃなかった。
私は、パパとママに育てられた。
そして、お父さんとお母さんから命をもらった。
そのどれもが、今の私につながっている。
美咲は静かに目を閉じる。
心の中で、小さく呟く。
ありがとう。
エピローグ 家族のつながり
スマホのアラームが鳴る。
6:30。
いつもの時間。
美咲は目を覚ます。
制服に着替えて部屋を出る。
キッチンから味噌汁の香りがする。
「おはよう」
「おはよう」
朝ご飯を食べ終える。
鞄を持つ。
玄関へ向かう。
靴を履く。
「行ってきます」
ママが笑う。
「いってらっしゃい」
パパは新聞から顔を上げる。
「気をつけるんだぞ」
「うん」
美咲は笑って頷く。
ドアを開ける。
朝の光が差し込む。
一歩踏み出す。
空を見上げる。今日もいい天気だ。
美咲は目を細めて笑った。
そして、
歩き始めた。
