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安価な旅

    めい

    金は無いが旅行に行きたい。
    格安で泊まれて温泉があれば良い。食事はご馳走や珍味は不要、腹が満たされれば良い。
    とりあえず検索してみた。探せばあるものだ。
    ツアーではない。個人で直接その旅館に出向けば二泊三日がタダになるというもの。但し書きを読むと血液型がABの者限定とあった。
    私はAB型。
    私はその旅館に電話し、今からでもどうぞと了承された。

    その旅館は私の住む街から1時間ほどの街ハズレにあった。かなりの老舗のようだ。

    帳場に行く。台帳に記入する前に医務室のような部屋に通された。

    血液型の検査のためである事はわかっていた。当然だ。

    看護師が白衣を着て現れた。
    彼女はニッコリ微笑む。
    「血液、少し頂戴いたしますね」
    「あ、はい」

    私は腕をまくる。
    チューブをつけられ、脱脂綿で消毒されて、注射針が‥‥。
    その後の記憶が無い。


    私は客室で丸二日の眠りから目覚めた。旅館での最初で最後の食事をとり、最初で最後の温泉にフラフラと向かったのだった。


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    自分で書きながらも、主人公を可哀想に思った。ごめんね、今度は優しい人の小説の主人公になってね、みたいな。

     
     
     

    めい

     
     
    2023年5月に古希を迎えました。普通のオバアですがお付き合いくだされば嬉しいです。 高齢ではありますし、行き届かないところが多々あると思いますがどうぞよろしくお願いいたします。 めい

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