シャクナゲ
| シャクナゲ亜属 | |||||||||||||||||||||||||||
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シャクナゲ | |||||||||||||||||||||||||||
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約140種(詳細は本文参照) |
シャクナゲ(石楠花、石南花)は、ツツジ科ツツジ属の常緑性木本。日本と欧米ではシャクナゲ類(Rhododendron)と呼ぶ範囲に違いがあり[1]、日本では一般的にシャクナゲ亜属に属するものをいうのに対し[1]、欧米では茎や葉に腺状毛(腺状鱗)をもつもの(ヒカゲツツジ亜属など)を含めた呼称である[1]。
シャクナゲ亜属(subgenus Hymenanthes)[2]は無鱗片シャクナゲ亜属[3](無鱗片シャクナゲ[4])とも称される。これに対して鱗状毛をもつグループは有鱗片シャクナゲといい[5]、その多くは日本ではツツジと称されている[4]。ヒカゲツツジ亜属(subgenus Rhododendron)[2]は有鱗片シャクナゲ亜属[3]とも称される。なお、標準和名では有鱗片シャクナゲの一部にもシャクナゲの名を含むものがある[4](後述)。
概要
[編集]Rhododendron (ツツジ属)としては主として北半球の亜寒帯から熱帯山地までのきわめて広い範囲に分布し、南限は赤道を越えて南半球のニューギニア・オーストラリアに達する。特にヒマラヤ周辺には非常に多くの種が分布する。シャクナゲのなかまは種類が極めて多く、分布は日本からアジア大陸の南部山岳地帯、ヒマラヤに広がる[6]。
シャクナゲ亜属に含まれるものには、常緑の灌木から高木まで約300種がある[5]。北米に3種、ヨーロッパに3種が分布するほか、アジア(特にネパール、ブータン、中国の四川省から雲南省地域)に広く分布する[5]。
世界各国で庭園の植栽に用いられ、多くの品種が作り出されている[6]。日本にも、園芸用品種として数多くの外国産のシャクナゲが導入されており、各地で植栽されている。18世紀以降に主にイギリス人のプラントハンターによってヨーロッパに紹介されて以来、優れた庭園樹として現代にいたるまで世界中で広く愛好されている[6]。プラントハンターによって導入され、そこから作出された園芸品種は西洋シャクナゲとも呼ばれる[5]。
さらに先述のように欧米ではシャクナゲ類にヒカゲツツジ亜属など茎や葉に腺状毛(腺状鱗)をもつものを含むが[1]、これらのグループは有鱗片シャクナゲともいう[5]。このヒカゲツツジ亜属(subgenus Rhododendron)にヒカゲツツジの仲間のほかビレアの仲間を含める立場があるが[5]、同じ亜属としつつRhododendron節を有鱗片シャクナゲ、Vireya節をビレアシャクナゲとして別のグループとする分類もある[7]。なお、ビレアの仲間にはカワカミシャクナゲのように標準和名に「シャクナゲ」の名を含むものがある[4]。
特徴
[編集]いずれも派手で大きな花に特徴がある。花の色はさまざまで[6]、白あるいは赤系統が多いが、黄色の場合もある。常緑の灌木が多いが、なかには高木になる種類も含まれており、ネパール国花とされているラリ・グラス(赤い花の意、学名: R.arborea)の樹高は20メートル (m) にもなる[6]。極めて優れた美しい花を持つ灌木あるいは高木であることから、欧米の植物学者の関心を集めた[6]。
シャクナゲは葉にロードトキシンことグラヤノトキシンなどの痙攣毒を含む有毒植物である。摂取すると吐き気や下痢、呼吸困難を引き起こすことがある。葉に利尿・強壮の効果があるとして茶の代わりに飲む習慣を持つ人が多く存在するが、これはシャクナゲに「石南花」という字が当てられているため、これを漢方薬の「石南(オオカナメモチ)」と同一のもの(この2つに関連性はない)と勘違いしたためであり、シャクナゲにこのような薬効は存在しない。
シャクナゲは有毒のため、ヤギやヒツジ、ウシなども食べない[8]。ネパールでは、材がかたく、薪にしても燃えづらく、ヤギもかじらないため家畜小屋の柵に利用したりする[8]。
主な種
[編集]野生状態でも変種が数多く、また園芸植物としても数多くの品種がある。日本産のものは変種を含めて11種ほどある[6]。
以下、属名 Rhododendron は R. と略記する。
東アジア広域
[編集]日本
[編集]- アズマシャクナゲ R. degronianum -本州の東北地方南部から中部地方までの山地・亜高山帯に分布する。花は淡い紅色。以下のような変種がある。
- ツクシシャクナゲ R. japonoheptamerum var. japonoheptamerum -紀伊半島以西の本州・四国・九州の山地に分布する。樹高3~4mで淡い紅色の花を咲かせる。以下のような変種がある。
- ホソバシャクナゲ R. makinoi - 愛知県東部と静岡県西部に分布[9]。自生しているものは環境省レッドデータリストによると絶滅危惧II類。名前のとおり、シャクナゲの中では葉が細い。紅紫色、または白い花。
- ヤクシマシャクナゲ R. yakushimanum - 屋久島の標高1,500メートル以上の高所に分布する[9]。花は淡い紅色。次の変種がある。
- オオヤクシマシャクナゲ R. yakushimanum var. intermedium -基本種より樹高、葉とも大型。
ヒマラヤ
[編集]ギャラリー
[編集]文化
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- 1 2 3 4 山崎敬「シャクナゲとツツジの呼び方について」『植物研究雑誌』第44巻第12号、日本植物分類学会、1969年、382-384頁、doi:10.51033/jjapbot.44_12_5876。
- 1 2 渡辺洋一「ツツジ属を対象とした日本列島の種多様性形成過程の解明」『植物地理・分類研究』第73巻第1号、日本植物分類学会、2025年、1-7頁、doi:10.18942/chiribunrui.0731-01。
- 1 2 長岡慶「アルナーチャル・ヒマーラヤにおけるシャクナゲと牧畜」『アジア・アフリカ言語文化研究 別冊5』、日本植物分類学会、2025年、1-7頁。
- 1 2 3 4 “比奈知ダム周辺で見られる草花(春)”. 水資源機構. 2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “新潟県立植物園 植物園だより vol.77”. 新潟県立植物園. 2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 辻井達一 2006, p. 162.
- ↑ 岡本章秀、嬉野健次「クルメツツジと有鱗片シャクナゲ(ヒ力ゲツツジおよびゲン力イツツジ)との種間交雑」『園芸学研究』第9巻第4号、園芸学会、2010年10月、395-401頁。
- 1 2 辻井達一 2006, p. 163.
- 1 2 3 4 5 釘貫ふじ、村田源「日本産シャクナゲ類の葉の表皮系に見られる特徴」『植物分類、地理』第38巻、日本植物分類学会、1987年、349-358頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00002992277。
参考文献
[編集]- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日。ISBN 4-12-101834-6。
- 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本II』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4。
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- シャクナゲ類 - 厚生労働省